サッカーの母国代表にも励まされている。
今季未勝利ながら、賞金ランクは15位で、3年ぶり8度目の出場を果たした。
豪州のブラッドケネディが、2日目の「66」で通算8アンダーの首位タイ浮上。
3バーディと、ボギーは8番のひとつだけだった。
6番のパー5の2打目は残り230ヤード。3番ユーティリティで狙ったショットが、どうやらピンを直撃したらしい。
イーグルパットは30センチだった。
「運も味方してくれたと思う」と、コースで徹底したポーカーフェイスが、さすがに「アメージング」な1打で優しく崩れた。
コロナ前の2019年大会は、ケネディも含めて出場30人中16人の海外選手が占めた。
だが、今年はわずか4人。
渡航制限や、昨今の記録的な円安や、他国ツアーの隆盛もあり、日本ツアー撤退をはっきりと口にする海外勢もいる中で、「僕のホームツアーは日本ですし、JTカップに出場するため努力してきた」と、頑として“帰国”。
今年のラストチャンスで、4年ぶりの通算4勝目を獲りに戻った。
今週は、昨季賞金王に就いた母国豪州ツアーのナショナルオープンと日程が重なるが、「日本ツアーでプレーすることが好きですし、30人しか出られないJTは、僕にとっても特別な試合ですので」と、とんぼ帰りで強行軍を果たしたが、再入国時の空港で、スーツケースをピックアップした際に、どうやら左膝をひねったらしい。
「下り坂を歩く時に痛むんです」と、コースでもおそるおそる歩行。入りかけのバンカーショットで沸かせた9番も、そこから這い出すのが大変だった。
「このあとまたJGTOのトレーラーでケアを受けてきます」と、成瀬克弘・JGTO専属トレーナーを頼りに、献身の井野洋輔キャディと残り2日も戦い抜く。
3年ぶり8度目の出場は、前回の2018年に石川遼とプレーオフ3ホールを戦い2位に破れた雪辱もかかるが、「勝つときは勝つし、なるようにしかならない。自分が何をすべきかも分かっています」ときっぱりと、「48歳できょうこの位置にいられる自分は恵まれている。今年最後に良いプレーで締めくくりたい」と、静かに意気込む。
「僕も子どものころはサッカーをやってたんです」と、開催中のワールドカップで6大会ぶりに16強に進んだ豪州代表だけでなく、この日は早朝に強豪スペインを逆転した日本代表にも励まされているという。
「時差もあり、ハイライトしか見れませんが本当によかったなと思います」と、頬を緩めて「豪州は明日アルゼンチンと対戦します。勝つのはほとんど不可能と思いますが、今年は波乱も続いています。やるべきことをやって、全力を尽くせば何が起きるか分からない。それは、ゴルフと同じですね」。
48歳と169日の大会初制覇なら、ジャンボ尾崎の1996年(49歳312日)と1995年(48歳313日)に次ぐ3番目の年長記録となる。
「日本ツアーも若い選手が出てきて、将来が非常に楽しみ」と歓迎しながら「自分もそれに対抗できるように、経験を生かしながら成長していく」と、手負いのベテランも譲らない。