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パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 2023

さすらうサムライ、大槻智春「また結べそう」通算3勝目で賞金22位→9位に浮上

2年結わえてきた長髪を、今夏の猛暑でばっさり切ったが、サムライはやっぱりサムライだった。

大槻智春(おおつき・ともはる)が、逆転の通算3勝目を飾った。



最後奥から4メートルのバーディパットでさらに差を3打に広げても、「まだヨンハン選手がプレーを残している」と、ガッツポーズも笑顔も封印。

ヨンハンが3打差のまま18番に入ったところでさすがに観念し、仲間の水シャワーを浴びたが、表彰式で失礼があったらと、別室ですぐに濡れたシャツを着替えて、実直にスピーチ準備。



首位で出ながら当時アマの蟬川泰果(せみかわ・たいが)に破れた昨年の雪辱があったか、と問われれば、そうでもない。

「今季、調子が良くなくて結果に繋がっていないことがほとんど。いいきっかけになれば、くらいでそこまで自分に期待していなかった」と、メラメラせず、でも「スコアボードは必ず見ます」と鋭く潮目を読み、2番から連続バーディで折り返した前半で「自分がトップと分かった」。


自覚した瞬間、10番で1Wを振り抜いて、手前の花道まで飛ばして2メートルに寄せるとそこから再び連続バーディ。

以後は孤高に最後まで、混戦に埋もれることはなかった。


朝の練習場でいつも力半分の1Wを5球→徐々にマックス5球で締めてコースに出るのは、「ドライバーで250ヤードを打ったり、300ヤードを打ったりというのをやりたいタイプ。練習で覚え込ませる」と、強風下でも制御を効かせたショット力を存分に発揮。


15番のパー5で木の下から3アイアンの低いドローで脱出した2打目も、奥バンカーからカップをかすめる第3打も、2打差で迎えた最後18番のティショットも完璧だった。


プロ14年目。
技とポテンシャルに経験を加味しても、もっと勝ってていいと周囲は言う。

だが、「改めて勝つって本当に難しい。今回、3勝しましたけど、4勝目も5勝目も、ずっと難しさを感じ続けると思います」と、さすらい続ける。


最後のバーディパットではあえて封印した笑顔がふいに崩れたのは、クラブハウスに並んだV副賞「パナソニック家電製品一式」の中に「コードレススティック掃除機」を見つけた時。



この春引っ越した部屋では遠征中もロボット掃除機を2台稼働させるキレイ好きだが「掃除機は持っていませんでした。本当に、ちょうど買おうと思っていたんです」と、お試しでノズルを滑らせ超ゴキゲン。

「カビが生えるのがとにかくいや。湿度は65%をキープしたい」と、徹底した環境管理には賞品の空気清浄機が役に立つ。

「嬉しいです」と、主催者さんに感謝した。


7月に髪を切ったのは「本当に暑かっただけ」と話したが、散髪を契機に賞金ランキングは前週の22位から一気に9位に浮上。

「今のトップ3はみんな若手。純粋に凄いな、と思いますけど、だからといって毎回勝てるわけではない。先週の谷原さんもそうですけど、ベテランも負けていないと思います」と、33歳もくさびを打ち込む。


この秋は、10月の日米「ZOZOチャンピンシップ」の切符獲りや、アジアンツアーで海外遠征も計画中だ。
「家に帰れないのでなかなか散髪にいけない。伸びてきて、また結べそうですね」。
さすらうサムライは、またキリっと髪を結わえて旅に出る。


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