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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2023

最終ホールの直ドラで魅せた。池村寛世「100点のゴルフができた」64で首位浮上

池村寛世(いけむら・ともよ)が強風の「64」で単独首位浮上。



2日目の最終ホールで“代名詞”が出た。

得意技が、難条件で火を噴いた。

インスタートの9番は、左から強烈な向かい風。
攻めあぐねる隣でこっちゃんキャディが、ぽつりと言った。
「直ドラでいいんじゃない?」。
相方の声を合図に、あえてティを差さずにティショット。


上り傾斜に沿って飛び出したボールは、風を切り裂き、まっすぐにフェアウェイを捉えた。
166ヤードを残した2打目は、6Iか7Iか。
「7アイアンで優しく打ち出したほうがミスも消せる」と、こちらもまた奏功し、ピン近くにべったりついた。

「100点。完璧な上がりができた」。
初日の4アンダーから、難条件下で一気に8つも伸ばす「64」で17位タイから急浮上した。



この日は、午後から強い風。
「でも、僕は早いスタートだったので。吹いたのは残り5ホールくらい。ラッキーでした」と胸をなで下ろすが、ちょうど吹き始めた4番から、3連続バーディも記録。


猛攻はやまず、随行のボランティアさんが「全ホール、バーディチャンスだった」と、惚れ惚れしていた。


今季は本来、武器であったドライバーの制御に苦しみ、6月から4試合連続で予選敗退するなど、賞金ランキングは60位で本大会に入った。

先週も、1打足りずに2戦連続の予選落ちを喫したが、「ドライバーは良くなっていた」とすでに不安は払拭できていたのは、10月の「バンテリン東海クラシック」からスイングを見てもらうようになった櫻井コーチのおかげ。


「打ち方を変え、曲がり幅も収まって、持ち球のフェードで帰ってきてくれる」と、自信が戻った。

先週は、現地に帯同してくれた櫻井コーチのアドバイスで「もう4、5年使っていた」という先調子のシャフトを手元調子にチェンジ。
「フィーリングがよくなり、やっとゴルフをしているな、という感覚」と、手応えが戻った瞬間のV争いには、自分でも驚いている。


「最後、いい締めくくりが出来れば、と思っていた」。
土壇場で、昨年の「ASO飯塚チャレンジドゴルフ」以来の通算3勝目もにらめる。

「良い位置で決勝に行けるので。しっかりチャンスを獲って、難しいところではマネジメントをして。明日もまた良い位置で終われれば、最終日も楽しみ」。

次週のシーズン最終戦への可能性も見えてきた。