パラスポーツなどの支援に厚い麻生グループが、プロゴルフとチャレンジドの共生を目指して昨年から始めた。
2回目を迎えた今年は、「共に、大会を成功に導く」とのテーマを掲げてさらなる施策を打ち出した。
そのひとつが「チャレンジド・ボランティア」。
障害をもつ方にも大会運営をお手伝いいただくことで、一体感を加速する。
初日は、5人のチャレンジドが挑戦。
クラブハウス玄関で出場選手の現着状況をチェックする受付係と、スタートホールで選手にスコアカードを渡すスタート係を担当した。
午前組の10番ティで選手にスコアカードやピン位置の紙を渡す係を担当してくださったのは、元木健二さんと秋山卓哉さん、中西義則さんの3人。
障がい者ゴルフの世界ランキングで現在、日本勢の4位、8位、9位を誇るお三方は、憧れのプロがやってくるたびに、嬉しくて笑顔がこぼれる。
特に、元木さんの口角が一番上がったのは、池田勇太(いけだ・ゆうた)がテントにやってきたとき。
前日水曜日の「チャレンジド・プロアマ」では一緒にラウンドした。
元木さんの笑顔を見つけた池田。
「昨日は、ありがとうね」。
「・・・こちらこそありがとうございました!」と、元木さんは感激。
池田に会うまでは、「ちょっと怖い人かなと思っていた」と、いう。
「でも、全然違って。ラウンド中も、池田さんのほうからめちゃめちゃいろんなことを教えてくれて。本当に細かいことまで見てくれて凄いな、って」と、イメージが一変。
実際に、触れあって初めて分かることもある。
「そういう機会をもらえて本当にありがたい」と、感謝していた。
昨年のプロアマ戦は、お隣の秋山さんと一緒に、中西直人(なかにし・なおと)とラウンドしたそうで、それもまた語り草。
「中西プロは打つ瞬間まで喋ってて、僕らの動画も一杯撮ってくれて、僕のも撮ってくださいよ、って・・・。めちゃくちゃ楽しかったよね」と、業務の合間も花が咲いた。
そんなお2人の背後でちんまり鎮座していた中西さんは、実は午前中はクラブハウスで選手の受付係をご担当。
午後から今度は元木さん、秋山さんと交代で、スタート係を受け持つが、ひとまず朝の業務が終了したので、下見がてらに来たという。
「この角度からプロのショットを見られる機会なんてめったにないですから・・・。ある意味、仕事じゃないですよね」と、ひょうきんに笑った。
ボランティアの体験は、初めてだそうだ。
「今回はどんな仕事をさせていただけるかと思っていたんですが、僕らにもできることをすごく考えていただいて」と、喜ぶ。
右足を失う前から、キャディをしながらプレーに励むなど、ゴルフが大好きだったという中西さん。
「入院中も、退院したらゴルフをするから」と周囲に宣言し、術後1週間で復帰。すぐに練習を再開し、障がい者ゴルフのトップ・チャレンジドに駆け上った。
「これぞ、プロっていうショットがこんなに間近で見られるのが嬉しい」と、目に焼き付けていた。
翌9日はギャラリーとして観戦に来るという。
昨年は、中西さんたちとチャレンジド・プロアマに出場した吉田隼人さんが、今年は出場選手としてプロとしのぎを削る。初日は午後から、地元福岡出身の時松隆光(ときまつ・りゅうこう)と清水大成(しみず・たいせい)らとコースに出る。
障がい者ゴルフの世界ランキングで日本勢トップのレジェンド。
「応援しなくちゃね!」。
元木さんや秋山さんと声が弾んだ。