また米ツアー1勝と合わせて、ガン闘病中の母に捧げる通算4勝目だった。
日本ツアーは2014年の初出場から、アマプロ合わせて6試合目の初優勝。
「日本でプレーするのは大好きです。また戻ってきたい」と、これを機会にJGTOのメンバー登録にも興味を示している。
優勝スピーチでは、会場のPGM石岡ゴルフクラブを絶賛。
グリーンキーパーの松本竜太さんらに直接、呼びかけ「マツモトさんをはじめ、スタッフのみなさんのおかげで最高のセッティングの中でプレーができました。選手も全員、素晴らしいコースと言っています」と、感謝を伝えた。
JGTOのチーフレフリーとして大会運営に加わった有賀淳によると、欧州・DPワールドツアーディレクターのミゲル氏が、「うちのツアーでも、毎週これくらいの仕上がりでやれないものかな?」と、幾度となく言ったそうだ。
最終日には、コースの管理棟にミゲル氏が直接、足を運んで「みなさまのご努力のおかげで歴史に残る1週間となりました。特にグリーンの状態は私どものツアーの中でも今季一番。大変素晴らしい状態でプレーができ、選手たちも大変喜んでいます」などとスピーチしたという。
“マツモトさん”たちが手塩にかけたコースが、世界基準を満たした。
有賀らJGTOスタッフにとっても、意義深い1週間となった。
「選手たちがかなり攻めてもなかなか寄らないようなセッティングをやろう」と、欧州ツアーに提案されたピン決めは、JGTOと欧州ツアーがアウトとインで分かれて担当。
昨年、ここで春と秋の2度行われた大会では端から4ヤードが限度だったピン位置は、今回半数ホールで3ヤードに切られて、大量アンダーが出た昨年とは展開ががらりと変貌。
時に、冒険しすぎて「もっとこっちに切ったら選手たちも喜んでくれるんじゃない?」と、欧州ツアーにやんわりと指摘されたり、「学びと発見の連続でした」と、有賀は言う。
欧州ツアーでは、共催試合に関する運用ポリシーが取り決めてあるそうだ。
何をするにもJGTO側の通常方針を確認した上で、十分に話し合いの場を持ち、折衷案をとるなど、常にホームツアーへの配慮と敬意があった。
有賀にも、全英オープンや、全米オープンなどでのレフリー経験はあったが、日本開催の初共催として、迎え入れる側を味わえたのは大きかった。
マスターズのレフリーもつとめるマーク・リットン競技委員長が進行する、毎朝の競技ミーティングのなんともいえないぴりっとした空気。
「私たちも、非常にモチベーションが上がりました。貴重な経験をさせてもらって本当にありがたかった」と、有賀。
「今回、身をもって経験したことを、日頃の運営にフィードバックできれば。日本ツアーの盛り上げにも生かしていければ、と思っています」。
日本初の欧州ツアーはそれぞれの思いや感動を乗せて閉幕した。