1差の通算16アンダーで単独首位に立った香妻陣一朗(こうづま・じんいちろう)が、プレー後に参加したアプローチコンテストではなんと“記録なし”を記録。
「ちゃっくりしました」と、設定53ヤード向こうのピンを捉えることはおろか、グリーンにも届かず“バン入”。
手前のバンカーに打ち込み、地べたに手をついた。
優勝した石川ら、ほかの参加5人ともが2メートル前後に寄せる中、こともあろうに3日目のリーダーが、計測不能に陥った。
「みんな上手かったんでね。ひとりくらい入れとかないと!」と、強がった。
「明日に取っときました!」と、最終日にこそお楽しみを残してきた。
3日目の余興ではずっこけたが、本戦の試合運びは完璧だった。
序盤こそ、なかなかチャンスが決まらず苦しい時間も過ごしたが、7番の連続バーディから始めて後半も15、16番と、18番も手前カラーから寄せワンの連続バーディ締め。
17番では5メートルのスライスラインも読み切った。
ボギーなしの「66」をマークして、1差の単独トップに躍り出た。
昨年12月の予選会を突破して参戦する「LIVゴルフ」は3日間競技だ。
主戦場ではこの時点でV決定だが、「いやいや、リブだったらいま20位くらいです」と、本人は即効で首を振る。
「きょうと同じくらいのゴルフができても向こうでは勝てない。前半伸ばせなかったときも、キャディとこれじゃ30位くらいだね、と」。
日本に帰っても、物差しは「LIVゴルフ」にある。
発足の22年に3試合に出場した際に飛距離の差を痛感し、今季はオフに鍛えなおして10ヤードの飛距離アップに成功したが、今季4戦目の日本ツアーでなら効果を実感できても向こうでは、ついていくので精いっぱい。
現在ポイントランキングで45位は、来季の出場権にはギリギリの位置という。
上位24位のシード権獲得と共に、日本ツアーの居場所も確保しておかなければならない。
今週火曜日の深夜に戻ったばかりで毎晩、必ず深夜1時に目が覚める。
寝不足に、猛暑も重なり、けっして万全ではないと思うがたまの帰国で目指すのは、ただ優勝のみと、たくましい。
1差2位で追われる南アのノリスは「LIVゴルフ」が発足した22年に共に参戦し、ノリスも「リブで陣一朗と仲良くなった。すごくいいヤツで、明日もおしゃべりしながら楽しくできると思う」と、話している。
「ノリスはヨーロッパツアーでも勝っていますし、日本でも一つ頭が抜けた存在」と、相手に不足はない。
「世界で通用する選手と思いますし、そういう選手と優勝争いできるのは楽しみ。お互いにどこまで行けるのか、争っていければいいなと思います」。
2年ぶりの通算3勝目をかけて“LIV対決”も受けて立つ。