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Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 2024

香妻陣一朗が2年ぶりの3勝目を手放しで喜べなかった理由

香妻陣一朗(こうづま・じんいちろう)が20年と22年に飾った過去2勝とも、コロナ禍による無観客開催だった。


だが、この日は、早朝4時に地元鹿児島の自宅を出発し、5時間かけて家族も応援に来てくれた。



「初めて目の前で優勝を見せる」が目標。

特に、22年には玲奈さんと結婚し、昨年は長男が生まれた。

家では、子育てで手が離せない玲奈さんのかわりに、掃除も食事もなんでもこなす。
「家族をすごく大事にしてくれて、尊敬しかない。彼の家族になれて幸せです」と、玲奈さんは言った。

家族の思いに最高の形で報いる、という意味でも香妻には絶対に負けられない戦いだった。


最終日の今季最多9686人の観客動員を記録した中での優勝も嬉しい。



日章学園中学(宮崎)の2009年に初めてプロの試合を体験したのが本大会。

当時より体も大きくなり、圧倒的に飛距離も伸び、成長を見せられたのも感慨深い。


でも、決着に2ホールを余分に要した猛暑の延長戦には反省しかない。

「メンタルの弱さや技術力のなさを反省している。嬉しさ半分、悔しさ半分。もっと精進していかないといけない」。

2年ぶりの通算3勝目は喜び以上の悔いが残った。



「これがLIVだったら…」が、吉本キャディとの最近の口癖。

昨12月の予選会を突破して転戦する「LIVゴルフ」は、22年の発足から欧米ツアーから強豪が次々と移籍し、その顔触れは毎週、メジャーさながらだ。

「日本ツアーで勝つくらいじゃないと。今日は24アンダーくらい出さないとLIVでは通用しない」と、圧勝を仮想して、1差の単独首位からスタートした。


8番で20メートルを沈めるなど前半3つのバーディで、3差をつけてターンした。

バンカーから乗せに失敗した11番ではラフからのチップインパーで命拾いし、12番では5メートルのチャンスを入れ、16番は3メートルも決まった。



しかし2差をつけて「優勝を意識した」と、自覚する上りホールで連続ボギー。

通算19アンダーは、想定したVスコアより5打も足りない上に、小斉平優和(こさいひら・ゆうわ)ともつれたプレーオフでは2ホールも要した。

「これではLlVでは厳しい」と、勝てても基準は主戦場だ。


12戦に出場して獲得賞金は日本円にして3億ほど。それでもシードのポイントランキング24位内にはまだ遠い45位。

「もっとスコアを伸ばして優勝したかった。守りに入って攻めきれなかった。このスコアでは、LIVではポイントも取れない。自分の弱さを反省している」。

日本ツアーのシード権は確保できても、最後まで手放しでは喜べなかった理由だ。


次週の「フジサンケイクラシック(山梨県・富士桜CC)」で国内5戦目を戦ったあと、また主戦場に戻る。

「次は気持ちよく勝つ、というのをやりたい」。
再出発の直前に、次こそ圧勝での連勝がLIVゴルフでの愛称「JINI(ジーニー)」の目標だ。


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