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ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山 2024

“ゆっくり精神“で掴み取った11年ぶりV!内藤寛太郎が自信を深める会心の優勝

苦しい18ホールを戦い切った内藤寛太郎の顔には安堵感と心地良い倦怠感が滲み出ていた。

最終日を単独首位でスタートした内藤だが、この日は2バーディ、1ボギーの1アンダー70と伸び悩んだ。この数字からも思うように伸ばせず苦しい1日だったことが想像できる。

同じ最終組の河合庄司が1番ホールで、福岡大河が2番ホールでバーディを奪ったのに対して、内藤は2番でボギーが先行する。この時点で目の前の2人には並ばれたわけだが、内藤には焦りはなかった。

「あのボギーでは正直焦っていなくて。今日は1日、自分のペースで焦らず、ゆっくりゴルフができればいいなという感じだったので、それを1日諦めずに最後までずっと続けられたというのが良かったと思います」

 

内藤の言う“ゆっくり“とはのんびりといった意味ではなく、焦らず自分のペースで、自分のゴルフをすることを意味している。これまでは気持ち的に焦った時にプレーが速くなったり、それが原因でミスが出たりすることが多かった。そんな経験を踏まえて、とにかく“ゆっくり“ゴルフができればと思い続けた。

優勝争いの中でバーディが欲しいのは本音だが、それを無理に獲りにいって失敗してきたからこそ、今日はとにかく焦らずにプレーすることを心がけた。バーディがくれば気持ち的にも楽になれたが、今日は楽にはさせてもらえないままの18ホールだったと振り返る。

「他の組のスコアももちろん気になっていました。(早い時間でスタートしていた)新村くんとか、伸ばしているのはわかっていたし、9アンダーでフィニッシュしているのも知っていたので、早く二桁に乗せたい気持ちはありました。でもバーディが獲れないし、いいパーもありましたけど苦しかったですね。バーディって気持ち的に凄く楽になるんですが、今日は2バーディなので、中々楽にはさせてもらえませんでしたね」。

 

この日の内藤はショットの調子がそれほど良くはなかった。そんな中で支えになったのがオフに徹底的に強化してきたショートゲームだ。今の自分に必要なものは何かを考え、強化したショートゲームで結果を出せたことは本当に良かったと思えているし、自信になったと今回の優勝を改めて噛み締めていた。

 

内藤はこれでABEMAツアー3勝目。2013年の『elite gripsJGTOチャレンジⅢ2013』以来11年ぶりとなる。気がつけば先月42歳を迎えベテランと呼ばれる年代になったが、それでも内藤にはまだまだできると自分を鼓舞し続けている。

プロゴルファーの40代と言えば現役を続けるだけでも厳しい年代だが、その中でツアーで活躍できること自体が凄いことだと言える。

「最近の若い子たちが本当に上手なので、そういう子たちとどういうところで差が出せるかというとやっぱり経験値だと思うんです。若い子たちが勢いがあるのは間違いのないことだけど、そう言うところ(大事な場面)で崩れないゴルフができていると思うので、今年はやれるという感覚は持っていました」。

 

この優勝でABEMAツアーでの賞金王も視野に入ってきた。「自分に期待はしません」とこの3日間言い続けてきた内藤だが、今回の優勝を含め、今のゴルフの充実度から考えると少しは期待してもいいのではないだろうか。