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〜全英への道〜ミズノオープンゴルフトーナメント 1999

瀬戸内海ゴルフ倶楽部のグリーンキーパー

初日、2日とも降り続いた豪雨にもかかわらず、「コースの状態がびっくりするくらいいい」(尾崎直道)、
「グリーンが天気のときと同じ転がりをしている」(渡辺司)、「読みどおりの転がりをするからやりやすい」(深堀圭一郎)と、選手からの賞賛の言葉は絶えなかったそんな、「全英への道 ミズノオープン」の舞台を作りあげたのは、瀬戸内海ゴルフ倶楽部、グリーンキーパー・船先淹王(ひさきみ)さん(58歳=写真)。
「これでも、私の中では大満足、というわけじゃないんです。もっとも、満足しちゃうと、コース作りはその時点で終わりという気もしますが」とはいうが、昨年の大会終了後からすぐに、今年にむけて天塩にかけて準備をはじめた成果は、選手の声を聞けば、あきらかだ。
「実は大会の2ヶ月前に、コースがかなり良い状態に仕上がってしまいまして、『これはまずいな』と内心不安だったんです。
というのはね、あんまり早くからほぼ完璧なコンディションになってしまうと、それを大会まで持続させるのが、逆に難しくなる。天候のかねあいもありますしね。
そのままのクオリティをそれ以上落とすことなく保つ、というのは、トーナメントで3日目に首位に立って、最終日に臨むのと同じで(笑)、かなり神経を使うものです」
船先さんはキーパー歴わずか3年。
「キーパーという職業は、コースと心中するようなものだ」という言葉を聞いたことがあるが、船先さんも例外ではなかった。
「まして昨年は、ミズノオープンの会場が、当方に移って1年目。
コース作りは一度失敗すると、取り返しがつきません。それこそ、芝やメンテナンスに関する本を読み漁り、不安で、夜も眠れなかったこともあります。でも、他のコーススタッフに支えられ、なんとかここまでこれました」。
そんな船先さんのめざすグリーンは、「細くて、しっかり根の立った芝」なのだという。
「そういう芝は、見た目どおりの転がりをするからです。逆に、悪い芝というのは、根の下に水を含んだり、空気が入ったりして目には見えないうねりを作ったりして、見た目より遅かったり、見た目より左右どちらかに切れたりという、アンフェアな転がりをするのです」。
納得のいく芝作りのために、来る日も来る日も、荒い砂と、細かい砂を交互にまいて、透水性(水分を吸いこむ力)をよくすることにつとめたという。
その努力の末の最高の仕上がりを、選手らに披露した矢先の初日の大雨。
100ミリを超える雨量に、夜を徹して給水対策にあたった船先さんは、「きょうの朝もまだ、雨は残っていましたが、予定時刻どおりティオフできてほんとうによかった」と、充実の表情。
ツアーは、こんな人達の熱意に支えられている。

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