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Philip Morris Championship 1999
通算5アンダー21位タイのリチャード・テイト
だが、この日は4アンダーでまわり、3日目にして自己ベストを更新。最終日にむけ、テイトが燃えている。
オーストラリア出身のテイトは1994年に日本ツアーのプロテストに合格すると当時に、知人の紹介でABCゴルフ倶楽部に入った。それ以来、今大会に連続出場。1年に何度回るかしれないホームコースでの試合ということもあり「なんとか周囲の期待に応えたい」とがんばってきた。
しかし、かえって気合が入りすぎ、96年にようやく65位に残ったほかは、いいところなし。出るたびに予選落ちを繰り返した。
「オマエは、毎日ここで練習しているから簡単だろう、と思われかもしれませんが、ホームコースでの試合はそんな楽なものじゃない、とつくづく考えさせられます。お世話になってる方々に良い成績で報いたいという思いや、応援してくださる方に応えたい、と思いでよけいな力が入ってしまうし、それに、トーナメントが開かれるとき、コースは通常営業のセッティングとまったく様子が違う。グリーンは速いし、ラフは深いし…舞台は華やかに整えられ、お客さんがいっぱい入る。まったく別のコースをまわってるようなものなんですよ…」。
いつもなら、2メートルしか転がらないパットのタッチも、本番になると倍以上の距離を転がってしまう。普段の練習なら、「この距離はこのクラブでぴったり」なはずでも、開催用に伸ばされたラフがボールにフライヤーをかけ、距離感はさっぱりつかめなくなる。
「これまでは普段の練習のときのコースのイメージを、引きずりすぎていたのかもしれません」
今年は、コースが大会用に様変わりをはじめる2週間前からみっちりとツアー仕様のコースを研究し、頭を切り替えた。
「とにかくフェアウェーにショットを置いて、ラフに入ったらグリップをしっかり握って、安全に刻む、攻められるところは思いきって狙う、はずしたら、ぜったいにパーセーブしよう、と心に決めて回りました」
初日にイーグルを出した15番パー5。3日目もフェアウェーから果敢に狙ったが、風が気になり右に押し出しグリーン右にはずした。2オンこそならなかったが、そこからピン2メートルにきっちり寄せてバーディ。通算5アンダーまでスコアを伸ばし、21位タイで最終日を迎える。
「今年はやりますよ。ガン!と、期待に応えるつもりです」
小さく作ったガッツポーズが、成長のあとをうかがわせた。