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ダンロップフェニックス 1999

最終日、3打差でスタートした丸山。懸命の追い上げも届かず、1打差で涙を飲んだ。

1ショットごと打つ前に、気合を入れなおすため洩らす丸山の深呼吸が、静まりかえったコースに響いていた。
集中力は、最初から最後まで、途切れることはなかった。 61のコースレコードをマークした前日の好調の波は、この日も続いていた。

「きょうはずっと攻めてた。ビシバシとね」。

2番でピンまで80センチにつけると、3番パー3でグリーン奥のラフからチップインバーディ。4番パー5では、ティショットをギャラリーの敷物の上にボールを落すトラブルにも動揺することなく、第3打をピン手前2メートルにつけて3連続。5番でボギーとしたビヨンと、6番でダブルボギーにしたガルシアと並んで通算10 アンダーと並んだ。

「でも、この2人を抜かなくちゃ意味がないんだ。タラレバを言い出したらキリがないけど、振りかえれば6番と7番が痛い」。6番はチャンスのバーディパットがわずかに左に切れ、チャンスをモノにできなかった。7番は、2メートルのバーディパットが50センチ、カップをオーバーして、思わず天をあおいだ。

タラレバ、はまだ続く。475ヤードと距離があり、しかも左にドッグレッグした10 番パー4。「後半につながるインポータント(肝心な)ホール。ここできっちり取れないといけない」。

いつもは3ウッドを握っていた10番ティショットで、この日に限って丸山はドライバーを選んだ。

「きょうは昨日以上にドライバーがキレていた。いける、と思った。それまでは同じ攻め方をしていたのに、なんでここだけ…」。

難易度1位の鬼門ホールでの、戦略ミスだった。このホールをボギーとし、「これがボクの甘さ。あそこでゴルフの雰囲気を変える必要はなかったのに…」後悔しても、あとの祭りだった。

1打差で迎えた18番パー5は、果敢に攻めた第2打がグリーン左手前のバンカーのふちギリギリのセミラフに落ちた。

足だけバンカーに突っ込んで打たなくてはいけない難しいアプローチを残し、寄せきれずにパー。ビヨン、ガルシアとのプレーオフに、混じれなかった。

丸山が、いつくかあげた「タラレバ」のなかでも、もっとも悔やんだのは、さかのぼること大会2日目の、バックナインだった。

10番パー4でダブルボギーを打ったあと丸山は、「プレーが雑になって」スコアを崩した。「あのとき、ボギーを打ちすぎた。もっと丁寧にプレーしていれば…悔しいよ〜!2日目の不祥事がこうなるなんて…バカマル〜!」と最終日、公式会見の壇上では思わず突っ伏した。

ゴルフは4日間を通して、いかに戦いぬくかが大事かということを、思い知った瞬間だった。

それでも、「今週はほんとうに勉強になった」と気を取りなおした丸山。「メンタルも整っていた。積極的に打てた。攻撃的にもなれた。あと問題は技術。見てろよ〜。あの2人(ビヨンとガルシア)いつか捕らえてやる!」丸山の言う“いつか”を、楽しみに待ちたいものだ。