4番パー5をボギーとし「いきなりのボギースタートで、きょうは正直言ってつらかった」と尾崎。
　しかし、その直後。6番ホールで賞金王を追う細川和彦が第1打をOB。

　「カズが暫定球を打っているのを見てから今度、6番、7番ではボクが皮肉にも連続バーディで生き返ってしまいました。これがゴルフの面白いところでもあるんですね」と、尾崎はしんみりと語った。

　この大会への出場は、前日ギリギリまで迷った。急性気管支炎を患い、開催前日になっても、出欠の答えが出せない状態だったが、弟子の細川は「一緒に賞金王争いをしよう」と尾崎がいざない、約束どおり同じ土俵まで這いあがってきている。加えて、否が応にも高まる周囲の期待。

　「それらに、きちんと受け答えしないといけないと思った」と、今大会への強行出場を決めたのだった。

　「来年の米ツアーのこともある。ずっと長い目で考えたとき、ここで無理をするべきなのか、迷ったんです。今も、これでよかったのかどうかはわからない。でも、とにかく出場すると決めたのですから、きょうはとにかく予選通過を目標に頑張りました」。

　ハーフターン直後の11番パー5では左ラフからの第2打を、「信じられないミス」で左にOB。このホールをダブルボギーとして通算1オーバー。再びピンチに立たされたものの、ここでもやはり持ち前の粘り強さを発揮して、13番、14番で起死回生の連続バーディを奪って盛り返す。

　そして、最終18番もバーディで締めくくり通算2アンダー、32位タイで決勝ラウンドに進出した。

　残念ながら細川は予選落ちして、2人の賞金王をめぐる争いは最終日を待たずして、終止符が打たれたが、いずれにせよ、執念で手に入れた栄冠。「1年間頑張った自分を称えてあげたいと思います」と、尾崎はほっとした表情で語った。

• 尾崎 直道
• 細川 和彦