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日本オープンゴルフ選手権競技 2000

「今日は自分のいいところと悪いところが、すべてはっきりと出た」

尾崎直道は1番で4パットのダボから執念で盛り返した

 尾崎直道はスタートの1番(429Y・パー4)でピンまで7メートルの左エッジから4パットのダボ。
 「気合が入ってたんです。これじゃ手が動かない、と思った途端に4パット。44歳にもなって4パットするなんて…ファンのみさなんゴメンなさい、って本当に思っちゃった。寂しさと悲しさを、実感したスタートホールでした」。

 その後、「僕はマジメにゴルフやっちゃいけないタイプなんだ」と、悶々とこのダボを引きずった。
 だが、「僕は、いったん、崩れてまた開き直ったところでもう一度、逆転するのがパターンなのかもしれない」という言葉どおり、「やけくそでやった」6番、7番で立て続けにアプローチを絶好の位置に寄せ、さらに8番では9IでOKバーディ。
 「ヨシ攻めていこう、とようやく気持ちを切り替えられた」12番からは1.5メートル、4メートル、1メートルの3連続バーディを奪って息を吹き返した。

 通算4アンダー、単独首位。「あんな1番をやっておいて、この位置にいるのが信じられない。こんなに良い自分もいたんだ、と思ったね」という直道が、連覇にむけ大きな1歩を踏み出した。

◆ 直道のコメント
 「僕はファンの人に、いつも気合の入ったかっこいいプレーヤーの姿を見せたいと思っているんです。でも今日は出足であんな姿を見せてしまって…。優勝を意識しすぎてしまったようです。
 格好つけてやると、僕はだめなんだな、と、ようやく気がつきました。
 リラックスして笑顔でやらないといけないタイプなんだ、と。
 明日は、思いっきり笑顔で、ギャラリーとでも誰とでも、明るく話しながらプレーしたいと思う。…でも、そういう姿って僕らしくないんだけどね。やっぱり、気合充分の姿を見せたいとは思っているんだけど…。今回は、理想の選手像は捨てなくちゃいけないね。

 今日もティショット、ほとんどドライバーです。12番のバーディもドライバーで行きました。残り89ヤードをサンドウェッジで1.5メートルに。これはひとつの作戦でした。たとえラフにいれても、残りは100ヤードくらいだし、ウェッジで上から落とせばいい、と思ったから。バンカー入れても、怖くないって思えた。なんとかなる、と。

 でも、最後の18番(ボギー)は、ドライバーでいって右のバンカーにつかまった。
 今日のいちばん悪い当たり。朝の1発があるから、なんとかここはパーであがりたい、と思いすぎたかな。
 今日の18番はラフに入れても、チャンスはあるかな、なんて思ってしまってね。
 でも(同組の)川原(希)君が左のバンカーから8番アイアンで打っているのを見て、僕もフェアウェー真中で軽くボギーでいいか、なんて思ってしまった。
 『逃げよう逃げよう』と揺れ動く気持ちがボールに乗り移ってしまったんだ。困ったもんだね。悪い癖。デンと構えられないタイプ…イヤだわホント。幼いというか子供というか…。18番のティショットは、明日まで引きずりそうだよ。
 今日は自分の良いところと、悪いところがすべて出たラウンドでした。
 本当なら、かっこいいところだけ見せたいのに・・・、ギャラリーのみなさんごめんなさい、です。

 明日は、まったく予測つかないよ。やっぱり、今日みたいにめまぐるしいゴルフをして、いったん崩れて、また逆転という感じなんだろうか。

 どういう風が吹くのか、楽しみではあるんだけどね…」

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