Tournament article

マンシングウェアオープンKSBカップ 2000

「もう、試合に出るのはやめようかと思っていた」

「64は自分でもビックリ」とインタビューで語った高木は、苦労人。
今季ここまで4試合に出場して予選通過なし、「貯金が底をついたので、もう試合に出るのは止めようかと思っていた」という高木祐二が64をマークして単独トップに立った。
今年、試合で稼いだお金は、4月に行われたチャレンジツアーの後楽園カップ(第1回)での7万1000円のみ。これまで遠征経費として100万円以上は使っているから、もちろん大赤字。「ツアーは諦めてレッスンに専念しようか」と考え始めた矢先の好スコアだった。

「64というスコアには、自分でもびっくりしました。インスタートの10番でバーディを取って3ホールぐらい1パットパーでしのいでいたら、雰囲気が良くなってきました。
これまで試合で66を出したことはありますが、64は記憶にありません。普段はこんなことになると焦ってしまうのですが、今日は慌てず、欲を出さずにできましたね。3番のティグラウンドでスコアボードを見たときも『ああトップだな』と思っただけ。冷静なもんでしたよ。ショットはひどかったのですけど、パットが入っているうちにショットも良くなってきたようです。
今季はファイナルクォリファイで26位になって前半、ほとんどの試合に出られるものの、ずっと予選落ちばかりで…。お金がないからしばらく休養しようかと考えていたところでした。お金がないことには(試合に)行けませんからね。
住まいは大阪ですが、今は出身地の島根でレッスンをやって稼いでいます。4年ぐらい前にも『ツアーはもうやめよう』と思ったときがあり、島根の練習場で教え始めました。
去年はたまたまクォリファイで上に行ったので、また試合に出はじめましたが、それが甘かったみたい。レッスンで(遠征資金の)100万円を稼ぐのは大変なんですよ。なんとか試合に行くために、カンパを集めて来ていますが、成績が悪いと応援してくださる人にも、『もうやめとけ』と言われてしまいますからね…」

ツアーで64をマークしたのも初めて、トップに立ったのも初めて。コースレコード更新の記念に、東児が丘マリンヒルズゴルフクラブより10万円を贈呈されたが、こうなったら目指すは大きく、優勝賞金2400万円だ。プロ22年目、41歳の高木が、果たして今季分の経費を、一挙に手中にできるか―。