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アジアパシフィックオープンゴルフ選手権競技キリンオープン 2000
滝島平八郎キーパーに聞く
特にグリーン速度(スティンプメーター)は、大会週に入って、連日10フィート半。固さ(コンパクション)は14から14半を記録し、選手の技量を引き出すのに、申し分ないコンディションになっていると思います。
ただ、心配なのは昨年3日目のような、大雨に見まわれること。フェアウェーやグリーンのところどころに、水がたまるほどのひどい雨で、中止せざるをえなくなりました。
今年は、あのときの経験を生かして、雨に備え、大会の2ヶ月前に、幾度もグリーンの更新作業を繰り返して参りました。
“更新作業”というのは、グリーンに小さい穴をたくさんあけて、芝に空気を送って芝の成長を促す作業のことですが、これを行うことで、同時に芝の水はけがよくなるのです。更新作業に使う機械は、各ゴルフ場によってさまざまですが、私どもの場合は、『ハイドロジェクト』という貫通機を使います。ハイドロジェクトなら、深さ約15センチの“つまようじ”ほどの小さな穴を、一度にグリーン面にたくさんつけることができます。これによってグリーンの浸透性は上がり、グリーン上に降り注いだ雨は、より早く、地下に沁みこんで行くようになるわけです。
ラフの状態はこの時期、冬芝が枯れて、その下から新しい芝が生え出すちょうど、入れ替わるときです。コースを実際に、歩いていただけるとわかると思うのですが、ところどころ芝がはげて、その下から青芝が生えかけている箇所がたくさん見られると思います。そこに打ちこむと少々やっかいとなるかもしれませんね。
東コースのキーホールとなるのは、やはり上がりの3ホールでしょう。18番のパー5(519ヤード)は比較的取りやすいホールで、最後の大逆転もありえますから、首位を走る選手はそれまでになんとか3打差はつけておきたいところ。
逆に追う選手は2打差以内でこのホールを迎えられたなら、まだまだチャンスはあるということです。
その前の16番(パー4、449ヤード)、17番(パー3、230ヤード)はどちらも難易度の高いホールですから、ここでのミスはなんとしても避けたいところ。
また、当コースのパー3は、4ホールとも200ヤード前後と長いですから、うまくパーで切りぬけたいところです。
選手のみなさんに、よりスリリングなゲーム展開をしてもらうため、1年以上も前からコース作りに取り組んで参りました。ですが、グリーンの状態は、天候に大きく左右される、まさにナマモノです。あとは、できるだけ天気が大崩しなければ、と祈るばかりです。
みなさん、ぜひ会場まで足をお運びになり、一生懸命に戦う選手の様子を、肌で感じてください。そして、我々の育ててきたこのコースを、存分に堪能していただきたいと思います。(茨城ゴルフ倶楽部管理部部長、滝島平八郎キーパーの談話から)