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日本ゴルフツアー選手権イーヤマカップ 2001
▼ 大会トピックス縁の下の力持ち〜今大会を支える人々
今大会に、強力な助っ人が登場だ。
雷の達人、長田(おさだ)正行さんと横山茂さんのお2人。
長田さん(=写真上)は、コース練習場横の運営本部で、1日中、コンピューターをにらんだまま動かない。
通称『雷災レーダー』という衛星監視ソフトで、コース周辺に雷雲が来ていないか、終始、目を光らせているのだ。
雷災レーダーは、半径100キロ先の雷雲も読み取る。
たとえばレーダーが、コースから50キロ圏内の雷雲を捉えたとしよう。
すると即座に長田さんは、レーダーに現れた雷雲の特性や動向を予測して、コース周辺に落雷の危険性がないかを判断するのだ。
これをもとに、運営本部では競技の中断、中止などの決定が下されることにもなるから、重要な役割だ。
長田さんは、気象予報士に国家試験が採用された平成6年に、難関を突破。その後、雷専門の予報会社、『フランクリンジャパン』に入社して、現在は、同社の取締役営業部長を務める。
長い“気象予報士歴”の中でも、ゴルフトーナメントの会場に4日間も常駐し、予報業務を行うのは初めての経験だそうで、「責任は重大ですが、みなさんの安全と、大会の成功のため、ひとつも見逃しませんよ」と、レーダーに目を凝らした。
もうひとりの達人、横山さんは、予報番組や雷災害時の特番など、たびたびブラウン管にも登場し、知る人ぞ知る“雷博士”。
現在は、九州大学大学院で教授としてすでに「この道32年」という雷研究に従事しながら、日本ゴルフトーナメント振興協会が発行する『雷対策マニュアル、2001年版』の監修に加わったり、今大会の開催前には、ギャラリースタンドや仮設テントの設営にも立ち会い、危険箇所を指摘。避雷針の設置を促すなど、開催前から、場内の雷対策に一役買ってきた。
大会期間中も最終日まで長田さんとチームを組んで、突然の災害時には、ギャラリーの非難方法等を指導していただけることになっている。
「まず、雷が鳴ったら、屋根のある部屋や、車の中に逃げ込んでください」と横山さん。
「さえぎるものがあまりないゴルフ場は、もっとも雷の好む場所で、フェアウェーにいると直撃雷、木のそばにいると側激雷の被害に会う可能性があります。また、屋内といっても、ひさしの真下は危ない。完全に中に入って、待機するようにしましょう」(横山さん)。
初日のこの日は、午後から雲空。たびたびコース上空を見上げ、雲のゆくえを追う横山さんだった。
雷に対する認識の甘さで、関係各所から非難とご指導を受けた昨年大会。今年、あの苦い経験をもとにスタッフ一丸となって、万全の体制で安全確保に努めている。