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日本ゴルフツアー選手権イーヤマカップ 2002

★ クレイトン・アオタニ

 昨年、静岡・御殿場で行われたEMCワールドカップの運営スタッフに任命されたのは、クレイトンがJGTOの競技委員になってまだ日も浅い7月のこと。大会開催の4ヶ月ほど前だった。
 ハワイ出身の日系4世で、英語・日本語とも自在に操る語学力。さらに、元プロゴルファーとしての豊富な知識を、買われたのだ。

 開幕までは、事前のコースセッティングはもちろん、会場内の観客スタンド等、ありとあらゆる仮設物の設置場所や、スポンサー看板の設置位置など、大会の細部にわたってWGCフェデレーションとの打ち合わせ。クレイトンは、ホスト国・日本の、代表スタッフの一員として、大会を全力サポート。
 慌しい日々の中で、通常トーナメントのルールズ業務もこなし、迎えた大会当日。
 クレイトンたち運営スタッフが一丸となって支えた今世紀初めのゴルフの祭典は、タイガーの劇的チップインイーグルでクライマックスを迎えた。それは、文句なしの感動シーン…。
 だが、真に、クレイトンの胸を打ったのは、実は別のものだった。
 最終日、18番グリーンを埋め尽くした大ギャラリーの姿。

 チップインの瞬間は、グリーン左の池の湖面が観客の大歓声でぶるぶると波立った。その様子に、クレイトンは、鳥肌が立つほど、感動したのだ。
 「日本にも、こんなにたくさんのゴルフファンがいたんだ…」。
 御殿場の最終ホールで、改めてクレイトンは、「こんなすばらしいファンの人たちに支えられている日本のゴルフツアーを、もっともっと盛り上げていきたい」と、胸に誓ったという。

 米カリフォルニア州のサンディエゴ大卒業後、94年に来日。2000年にはファイナルQTも受け、2001チャレンジツアーも経験。日本ツアーで選手として生計をたてることを第一の目標としてきたが、いま、クレイトンの進路は、大きく転換を始めている。
 「世界に通用する選手たちを育て、送り出していきたい」という新たな夢だ。
 「その夢の実現のためにも、昨年のワールドカップでの経験は貴重だった」とクレイトン。「あれほどの大会の舞台裏を垣間見られたことは、今後の競技委員人生にとっても、大きな意味を持つはず」世界舞台での感動を胸に、これからは、日本ゴルフツアー発展に、力を尽くしていくつもりだ。