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サントリーオープンゴルフトーナメント 2003

淡々としたプレーを貫いていたジョティ・ランダワが、ふいに自身をさらけ出した瞬間

この4日間、ランダワはまるで鉄仮面のように、淡々とプレーしていた。ミスして も、悔しがるそぶり もない。バーディを取っても、ニコリともしない。感情は、母国インドに置いてきた のか?

そう疑いたくなってしまうほど、マシンのように球を打ち、転がすという行為を繰り 返していた。

台風14号の影響で、最大瞬間風速20メートルを越える強風が吹き荒れた3日目でさ え、その姿勢は変わ らなかった。

そして迎えた72ホール目。いよいよ最後の1打を打ち終えるまでそんなふうだったか らこそ、18番グリーンでの優勝シーンが際立った

1メートル弱のウィニングパットがカップに転がり落ちたとき、ふいに生身の彼が、 ほとばしり出るよ うだった。それまでのポーカーフェイスがたちまちゆがんで、今にも泣き出しそうな 表情に。目をぎゅ っと閉じたまま両手を広げて天を仰ぎ、もだえるように体をひねって、頭を抱えた。

その手を解くと、出てきたのは満面の笑み。

満員のギャラリースタンドに向き直ると、左手を胸に当て、うやうやしく腰を折っ た。

「ありがとう!ほんとうにありがとう!!」。
自信満々で勝ち取った日本ツアーでの初優勝か、と思わせる落ち着き払ったプレーぶ りだったが、そう ではなかった。

初出場の今大会。松林にセパレートされた狭いフェアウェーと深いラフ。コースの難 しさに仰天し、練 習ラウンドの段階で「まず、予選通過で精一杯だろう」と踏んでいたというのだ。

2位と2打差で迎えた最終日も、「ものすごいプレッシャーを感じていた」という。特 にあがりホールは 激しい重圧に襲われて、17番で6メートルのバーディパットを2.5メートルもオーバー させて3パット。2 打差で迎えた18番は、左ラフからの第2打をダフって手前バンカーに打ち込んだ。

「ほんとうに緊張していたんですよ」。バンカーからのアプローチを、ピン右1メー トルに寄せても、 安心などできなかった。ただひたすら、そのパーパットをねじ込むことだけに集中し ないでは、おれな かったのだ。

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