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サントリーオープンゴルフトーナメント 2003

今日は“あのとき”を何度か思い出すゴルフ

この日は午後スタート。最終18番にさしかかったころには、総武の森には夕暮れが 迫っていたにもかか わらず、気温はいっこうに下がる気配がない。汗もかき尽くした藤田がホールアウト 後、あるものを見 つけて早足で駆け寄った。

ハーゲンダッツのキャリーセールスだ。今大会期間中はスタッフが、ドライアイスの たくさん入ったキャリーバッグを肩にかけ、コース内を移動しながら冷たいアイスク リームを販売している。ちょうど、パッティンググリーン横を歩いていた売り子の女 性からいっぺんに5つも買いこんで、ほてった体をクールダウンだ。
難セッティングの上に、残暑が体力消耗に拍車をかける。「後半からはバテ気味、 ショットのイメー ジもなくなってきて、ラフに打ち込みやっとパーのゴルフ」。しかし、そんな状況か らズルズルを崩れ去ってしまわないのが、藤田の真骨頂。「みんながボギーを出すと ころでパーをひらう。みんながあきらめるところで、僕はあきらめない」。持ち味の 低いスライスボールで、よりいっそう丁寧な攻めに徹 してピンチをしぶとく乗り越えていく。

15番で、右ラフからの第2打をグリーン奥に打ち込んだ。アプローチで寄せて下りの2 メートル。難しい ラインをしっかりと沈めてパーセーブした。5番、16番では6メートルのパーパットを ねじこんだ。18番 では、グリーン左手前の深いバンカーから、手前1.5メートルに寄せて4アンダーのま まフィニッシュだ 。
「今日みたいなゴルフをもう1回やれっていわれても、きっと出来ないような内容で した。ラウンド中 、あのときのことを、何度も思い出す瞬間がありましたね」。
“あのとき”とは97年、66ホール連続ノーボギーで、ジャンボの追撃を振り切ってこ の大会で初優勝を あげたときのことだ。

当時と開催コース(97年は習志野CC)こそ違うが、「優勝するって、こういうゴルフ をしているときな のかな、と感じたときが今日は何度かあったんですよ」。大会2度目の優勝へ。藤田 が、早くも確かな 手ごたえをつかんでいる。
  • 18番、バンカーからのサードショットは1.5メートルにつけパーセーブ!!