Tournament article
中日クラウンズ 2004
尾崎直道が痛みを抱えながらも通算8アンダー、2位タイ浮上
尾崎直道が痛みを抱えながらも通算8アンダー、2位タイ浮上
この日ボギーなしの64。通算8アンダー2位タイでホールアウトしたというのに、直道 の表情がいまひと つ冴えない。ひざに手を置いた中腰の姿勢で、眉間にしわを寄せながら、ポツリとつ ぶやく。「腰が・ ・・。なんかね、ド〜ンと痛いんだ・・・」。恐る恐る腰をおろしたインタビュー席 で、何気なく上体 をひねって悲鳴を上げた。「イテテテ!! ・・・こういう動きがね、ダメなの。ス イングでいうと、 切り返しからインパクトに入る瞬間。今日は、ずっと我慢してプレーしていた」。
今大会前から続いていた腰痛は、この日2日目にピークを迎えた。ラウンド前にも入 念なストレッチで 痛みを和らげようとしたが、かえって悪くなるばかりだった。プレー中は警戒して、 やや軽めにショッ トしていこうと考えた。が、そうすると、今度はスイングのタイミングがまったく合 わなくなってしまう。
結局、あきらめて従来どおりの打ち方で歯を食いしばって耐え、18ホールを回り終え た直道は、「自分でも、大丈夫かなあって・・・かなり不安。今日は練習も、とても じゃないけど無理だよ・・・」と、顔をしかめた。
思いがけない故障に、ツアー通算31勝目のチャンスにも暗雲が垂れ込めているが、実 は目の前に苦難が立ちはだかるほど燃える選手でもある。
99年の日本オープン。ひどい悪天候だった上に、3日目の17番ホールでいきなり激 痛。尿管結石をわず らった。病院に直行し、幸いにもひどい痛みは最終日までには消えたが、万全とは言 いがたい状態の中 、優勝をもぎ取ったのだ。
大会3日目の5月1日は27年前、自身プロ転向を果たした記念の日だ。腰をさすりなが らも、「へ ぇ、そうなんだ。27年前・・・なつかしいね。明日も自分に『大丈夫』って言い聞か せながら、ぜひよ いプレーがしたいね」。痛みを忘れてモチベーションをあげるべく、懸命に気を取り 直していた。