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ブリヂストンオープンゴルフトーナメント 2005
井上信(まこと)「研修生にも、自慢できる」
幸い、というべきかこの日動いたホールはピン手前7メートルを沈めた3番パー4のみ。
「記入するのも簡単だった」。
同じ組の横尾、マイヤーがカードに目を凝らしている隙に、早々とサインを済ませて先を立った。
決勝ラウンドの組み合わせは良いスコアのものほどあとになり、タイの場合は先にカードを提出したもの順に後ろになるしくみだ。
だからマイヤーと2人、同スコアの3位タイに並んでいた井上が3日目に引き続き、最終日最終組で回ることが決まった。
ホールアウト後の井上の行動は、これを計算ずくだった。
1年間の研修時代を含め、ここ袖ヶ浦カンツリークラブに所属して7年。
ホームコースで2日連続で最終組で優勝争いができれば「研修生にも自慢できる」と、踏んだのだ。
もちろん、優勝してしまえばそれどころの話しではない。
「所属コースのプロが優勝する、なんてあまり聞かないしまた良い話題を作れるかな、と。それに、コースにも一番の恩返しにもなる」。
首位にはスメイルと、初優勝のかかったホストプレーヤー宮里優作も控えている。
「優作も、相当気合が入っていると思うけど。上がり3ホールまで、後ろについていけたら僕にもチャンスはある。最後まで食らいついていく」。
いまからちょうど1年前。
次週のABCチャンピオンシップで史上19年ぶり、3人目となるマンデートーナメントから初優勝をあげた。
その直後に仲間の手荒い祝福を受けて、肋骨にヒビが入るオマケつきで話題をさらった男が、また新たなドラマを作ろうとしている。