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ABC チャンピオンシップ ゴルフトーナメント 2005

小田龍一「勝つにはまだ、いろいろ足りないものがあるけれど」

本戦のペアリングは、会場では火曜日の正午に発表される。それを見るなり小田は目が点になった。

初日、2日目はジャンボ尾崎との組み合わせに、小田はその日一日中、こう唸り続けていたという。

「な、なんで?? なんで僕が一緒なの?!」。

ツアー通算94勝のジャンボに対し、未勝利の小田。
いざこの日の本番も、「3ホールくらいまでは、顔もこわばって緊張しまくっていましたね」と、18ホールついて歩いた妻・優子さんも証言する。

「ジャンボさんは普段とても良い人だけど、ものすごく偉大な人もである。自分でも、そういうプレッシャーをかけてしまった」。
醸し出す雰囲気に圧倒されて、ガチガチだった。

飛ばし屋の小田は、ティショットで常にジャンボより前に行く。
「よう、飛ばすな〜」。
セカンド地点でそう声をかけられるたびに、恐縮した。

525ヤードの18番パー5。残り175ヤードの第2打を9アイアンで奥5メートルにつけて、これをねじこんだ。
「よう、入るな〜」。
「・・・そう言われて、後半から入らなくなっちゃった」。
出入りの激しい前半にくらべ、スコアが動いたのは6番と9番の2ホールだけというバック9に、そう冗談交じりに言って苦笑した。

9月のアコムインターナショナルで、シャンクを連発してショットのイップスになりかけたが、コーチの堀尾研仁さんのアドバイスで、不安も消えた。

ジャンボとのラウンドはもう一日残っているが、この日初日で免疫もできた。

「勝つにはまだ、いろいろなものが足りないけれど、先週も良い流れだったし今週は良いところに行けそうかな」。

シード元年のこの1年間。さまざまな経験を積んで、初優勝への手ごたえも少しずつ出てきた。

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