Tournament article
中日クラウンズ 2005
尾崎直道「ジャンボとは、また違った強さで戦いたい」
つけ入る隙も、ないように見えた。
その一方で「なぜか自分が負ける気が、しなかった」と、直道は振り返る。
フロント9で吹き荒れた強風は、「追い風のように感じた」。
バック9から降り出した雨は、「恵みの雨に」。
どんな障害も、自分に味方してくれるように感じる。
先週のつるやオープン。1年半ぶりの優勝が、直道にゆるぎない自信を与えていた。
これまで22回もの出場経験があるこの大会。
この日の風向きなら、左ドッグレッグの16番。367ヤードのパー4が「最後のチャンスになる」と、直感した。
「それまで、せめて離されないよう。スリルある優勝争いを、見せていきたい」その一心で迎えたキーホール。
残り119ヤードの第2打はピン2メートル。バーディ、ボギーで首位に並んだ。
「勝機はやっぱり俺にある」。
ますます信じて疑わず、通算11アンダーで持ち込んだプレーオフ。
その2ホール目に決着をつけた。
あと数十日で49歳。重ね合わせて思うのは、兄・ジャンボのことだ。
同じ歳にダンロップフェニックスで大会3連覇と通算100勝目を達成し、そのあとさらに12個の勝ち星を重ねて、現在112勝。
「アニキは、49歳から全盛期。ますます、強くなっていった印象がある」。
それにひきかえ今の自分には、「あのころのジャンボのような、豪快な飛距離がない。同じようにやれるわけもない」。
それでも、ショートゲームのうまさを何より問われるのがここ和合だ。
そのコースで、97年以来(※)8年ぶりの2週連続Vを達成できたことで、「ジャンボとはまた違った強さ、戦い方で俺もまだやれるのではないか・・・」。
そんな希望もわいてくる。
「この2勝でまた、賞金王とか言われるだろう。けど俺自身、せっかくこんな調子いい時期を、思い切り楽しみたい気持ちもある。行ける所までこの気持ち良さを味わいたい、ってね」。
当面の照準は、1週空いて次の日本プロ。
3試合連続優勝もやり遂げてしまいそうな勢いが、今の直道にはある。
※直道の過去の2週連続優勝は、91年のカシオワールドオープンと日本シリーズ、97年のPGAフィランスロピーとヨネックスオープン広島と、今回で3回目。