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アコムインターナショナル 2006

立山光広が8番で『19』の大たたき

怒りを通り越して、笑いがこみ上げてきた。225ヤードの8番パー3。4番アイアンで打ったティショットは、右手前の丈高いブッシュへ。
草の中に深く埋もれたボールを、同伴の今井克宗が見つけてくれたのが悪夢の始まりだった。
渾身の力をこめてサンドウェッジで打った第2打は、今度は奥のブッシュ・・・。

「アンプレヤブルしようにも木やフェスキー草に囲まれてドロップできる箇所さえ見つからない」と立山は判断したが、そのまま打とうにも、草がすぐにボールを覆い隠して、正確な位置さえ確認できない。

それでも「だいたいこの辺りだろう」と、見当をつけてクラブを振り下ろした。
何打目かに強い感触があったが、「茎に当たって、後ろに飛んだよ・・・(苦笑)」。

そこからは、もう無我夢中だった。
途中から、だんだんワケが分からなくなっていった立山に変わり、今井が打数をカウントしてくれた。

「11、12、13・・・」。
打っても打っても、脱出できない。
「くそ!」
「出ろ!」。
「どうだ・・・!」。

ムキになって打ち続ける立山を、とりあえず、ティショットだけ済ませてグリーンにやってきた後ろの組の小山内も気の毒そうに眺めていた。

「・・・30分くらい、打ち続けていたような気がする」(立山)。
ようやくピン7メートルに乗せることができたのは、17打目。
これを2パットで沈めて、1ホール19打は87年の東海クラシック3日目に、鈴木規夫がアウトのハーフトータルを、誤って9番ホールの欄に書き入れてしまった「42(38オーバー)」に次ぐワースト記録。

「・・・でも、OBもなしの素の19。真の日本一は僕でしょう」。
13オーバー119位タイには、そういうところで自慢するしかない。

しかし、立山は諦めない。
大たたきしたあとも「これから15バーディ取れば予選は通れる」と、不屈の精神で巻き返しにかかった。
後半のインコースで4バーディを奪ってどうにか最下位を逃れると、「明日はあと12バーディ。全力でアタックするよ!」。
もし、実現すれば倉本昌弘が2003年にマークした“59”に並ぶ大記録。
1ホールでこんなに打ったのは「人生初」という苦難にも、“番長”はどこまでも前向きだった。

写真=ホールアウト後にファンにサインを求められ、この日の日付と8番の『19』をしたためて記念撮影に応じるサービス精神!!

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