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三井住友VISA太平洋マスターズ 2006

小田龍一「弱気は、最大の敵」

飛距離が戻れば、成績も上がる。517ヤードの最終18番、残り145ヤードの第2打。
8番アイアンで、2段グリーンの奥に乗せた。
楽々バーディで、混戦からひとつ抜け出す。

6アンダーは単独首位。

初日のリーダーは、11番・12番で計測中のドライビングディスタンスでも平均312ヤードを記録してトップに立つ。

2002年から2年連続のドライビング王。
しかし、今年は夏場までその飛距離でも低迷していた。
8月のアンダーアーマーKBCオーガスタまでの累計で、21位(当時平均289.35ヤード)まで落ちた。
豪打はすっかり影を潜めた。

同じようにシーズン中盤までは成績でも伸び悩み、それまでにトップ10入りはわずか1回。
8月には、3試合連続で予選落ちを喫して「もうだめだ・・・」。

後ろ向きなコメントを繰り返し、すっかりふさぎこんでしまった。

身長180センチ、体重90キロ。見かけの割りに、ナイーブだ。
「少しでも悪くなると、いつも弱気なことばっかり」とは妻・優子さん

そんな夫を見かねた妻はある日、絶好のプレゼントを見つけた。
それは、小さなキーホルダー。
横5センチ、縦2センチ幅の皮タッグに「弱気は最大の敵」と、かたどられていた。
「少しでも、前向きになって欲しかったんです」と、優子さんはいう。

狭いホールでは、つい怖くて加減してしまう。
「でも、コントロールしようとすると、逆に曲がるってことも分かってる」。
今年から、専属キャディのジョー・エドワードさんも、いつも口をすっぱくして言うことだ。
「リュウはすごく良いものを持っている。だから常に自信を持って、思い切って振れ!」。

さっそく、キーホルダーをキャディバッグに飾った。
「常にイメージを持つようにして、思い切り振っていこう」。
そう決めた直後のANAオープンから7位タイ、4位タイ、3位タイ。
立て続けに優勝争いに絡み、賞金ランクも一気に上昇。
同時に、ドライビングディスタンスでも飛躍的に記録が伸びた。

現在、累計平均296.10ヤードは、1位の小山内護に約4ヤード差の3位につける。

2000年と、2004年から2年連続のドライビング王の小山内に「俺のあとを継ぐのはお前しかいない」と、言われているのが小田だ。
「そんな・・・マモさんの飛距離にはまだまだかないません」と手を振ったが今年、飛距離での王座奪還をも射程に捉えて「強気な心で」ツアー初優勝を狙っていく。

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