Tournament article
カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2006
ミシェル・ウィーは出遅れ
この日の気温は17℃。常夏のハワイで生まれ育ち、日本の寒さに慣れていないウィーにとって過酷な条件となったのには違いない。
「急に暖かいところからきて、体が動かなかったのでは。そういう差はあるはず」(横尾)
さらに、降りしきる雨が追いうちをかける。
もともと、ドライバーの調子が良くない上に飛距離も稼げず、ボギーを重ねた。
加えて、あちこちで鳴り響く携帯電話の着信音やカメラのシャッター音。
宮里優作が振り返る。
「横尾さんや僕のときもけっこうあったけど、ミシェルのときはルーティンに入ってからも撮られる場面があった。僕らよりも彼女のほうが、相当に疲れたと思う」。
しかし17歳は、それらをいっさい言い訳にしなかった。
むしろ、「日本のみなさんは礼儀正しいですから。何も問題はなかったですよ」と、インタビューでこともなげに言った。
折り返しの1番では警備員とギャラリーが、大声で押し問答をするシーンもあった。
ピリピリしたムードの中で、優作はウィーとこんな会話を交わしている。
ウィー「宮里さん、“HG”って知ってますか」。
優作「もちろん、知ってるよ」。
ウィー「こんなとき“セイセイセイ”って言うんでしょ?」。
優作「(笑って)そうだね」。
日本の人気お笑い芸人を、たまにDVDで見たりするという。
それを引き合いに出して、深刻な場面もユーモアに変えてしまう機転の良さ。
日本語での質問を、通訳を介さずに理解している素振りをみせる。
勉強熱心な一面をのぞかせる。
だから、翌2日目への意気込みももちろん日本語で。
「今日ノプレーハ残念デシタ。明日ハ頑張リマス。ゴールハアンダーパーデス」。
横尾も優作も、口を揃えて褒め称えたチャレンジ精神。
初日の出遅れにも、ウィーに落胆はない。
「今日はただドライバーが良くなかっただけで、まだ自信はある。明日もプラス思考でリズムを取り戻せれば大丈夫です」と言い切った。
目標はあくまでも、日本ツアー史上初の女子選手の予選通過。
まだ、諦めてはいない。