昨年、大抜擢。テレビＣＭキャラクター出演の指名を受けた。今大会主催のデサント社のメインブランド『マンシングウェア』。女子プロの北田瑠衣選手と２人、メーカーの“顔”として選ばれたのだ。

北田選手は宮里藍選手と組んでワールドカップで優勝するなどすでに名前を売っていたが、谷は昨年まで下部組織のチャレンジトーナメントに出るのがやっとという選手。

デサント契約プロにはほかにも、杉原輝雄や牧野裕ら有名選手も揃っているのに「なんで僕にそんな大役が回ってきたのか･･･さっぱり分からなかった」と、谷は振り返る。

実は、デサント側としてもちょっとした冒険だった。
ゴルフの才能は認めていたものの、まだツアーの出場権さえ持たない選手には荷が重過ぎないか･･･。
「でも何より彼はルックスが良いし、若さと勢いに賭けてみよう、と。そのことで本人にもいっそう自覚が出て、成績がついてきてくれたら嬉しいと」（株式会社デサント・広報部）。

果たして、狙いは大当たりだった。
今年の開幕戦『東建ホームメイトカップ』で２日目、３日目と首位に立ち、最終日は最終組でのプレー。
結局、８位タイに終わったもののインパクトは十分だった。

この活躍をきっかけに、本人も手ごたえを感じている。
「さすがに、最終日はプレッシャーがあってスコアが伸ばせなかったけど。この経験を増やしていけば自分にもなんとかなる、と思えた」。
あの優勝争いのときに出てきたスイングの課題をこなすうち、日に日に調子も上がっているのだという。

目下の目標は、なんとか結果を出して「ＣＭに見合う選手になること」だ。
週末の全国放送ではもちろん、試合の合間にあのコマーシャルも流される。
「理想は、優勝争いの僕がアップになったところでいったんＣＭ。そこでまた僕の顔が写る、と･･･（笑）。日曜日にはいっぱい写りまくって、株を上げたい」。

実現すれば、最高の恩返しにもなる。

• 谷 昭範