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KBCオーガスタ 2007

宮本勝昌「待ってろ、遼くん!」

会場の芥屋ゴルフ倶楽部はツアーの開催コースでは唯一の高麗グリーンだ。芝目が強い上に、クセがあるため苦手意識を口にする選手が多いが、宮本は3年ぶりに握ったピンタイプのパターがハマった。

「フィーリングも打感も良くて、狙ったところに打てる」。
6番パー5で残り220ヤードの第2打を4番アインで奥10メートルにつけて、これを沈めてイーグルを奪うなど、7アンダーは単独首位発進。

これまでは常にパターを2本、会場に持参していた。
必ず「予備」を用意して、選択の余地を残すようにしていたが、「いまはキャディバッグにこれ1本しか入ってない」。
これで迷いが吹っ切れた。潔い決断が奏効した。

「暑さの中で、会心のゴルフができた」と、したたる汗を笑顔で拭った。

先週まで2週間のオープンウィークは、北海道のサン・クロレラ クラシックからそのまま居残って調整を重ね、、週末には地区競技の札幌オープンに出場。
あとの1週間は完全に、家族サービスに当てた。

弁当を持って、地元・静岡近郊で行われた女子ツアーやシニアツアー会場でピクニックを楽しんだ。
ギャラリーに気付かれ、「宮本さん、何やってんですか」と声をかけられ照れる場面もあったが、「良い夏休みが過ごせた」と、大いにリフレッシュしてツアー後半戦を迎えている。

それに今週は、特に頑張りたい理由もある。
次週のフジサンケイクラシックに、石川遼くんが出場する。5月のマンシングウェアオープンKSBカップで史上最年少優勝を達成してから、初めてのツアー参戦となる。

あのとき、15歳に1打差で敗れながら、優勝賞金2000万円をそっくり受け取ったのが宮本だった。
「来週は、メシでもご馳走してあげないと怒られちゃうね」と冗談まじりに笑ったが、やはり本音にあるのは「あのときのリベンジをしないとね」。

その遼くんからは、「宮本さんと練習ラウンドがしたい」と請われて嬉しいやら、「人気者だけに、ギャラリーの

みなさんのジャマになりそう」と複雑な心境もちらつかせるが、とにもかくにも約3ヶ月ぶりの“再会”を目前にぜひ今週4年ぶりのツアー6勝目でツアープロの威厳をつけておきたい。

宮本がそっとつぶやく。「・・・待ってろ、遼くん!」。
態勢も万全に、15歳を迎え撃つ。

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