Tournament article
コカ・コーラ東海クラシック 2007
藤島豊和が単独首位に
ダブルボギー・・・。
これが、自身3度目の最終組だったが「これまでにも、良い思い出がなかった」。
インターバルで、便所に駆け込み思わずつぶやく。
「今回もまたダメか・・・」。
一度は諦めたが、しばらくこもって一人きりの時間を過ごすうちに頭が冷えた。
再びムクムクとやる気が沸いてきた。
もともと、ショットは絶好調だったのだから。
「もう1回、頑張ってみよう」。
数分間のトイレ休憩が、再浮上のきっかけだった。
バック9でボギーなしの3アンダーをマークして、改めて思う。
「僕はやっぱり、優作さんと相性が良いんです」。
この日、同じ組で回った東北福祉大のひとつ先輩、宮里優作はゲンの良い相手だ。
2002年の日本アマ。準決勝の直接対決で3アンド2で倒して以来、なぜか宮里と回ると良い結果が出る。
プレーのリズムや、波長が合うという理由のほかに「昔から優作さんには対抗心がある」という。
常に格上の先輩に「負けたくない」。そんな気持ちが、いつもうまく作用するのだ。
その優作は「確かに、あいつにとって俺はアゲ」と認めつつ、逆転された悔し紛れに藤島の秘密を暴露した。
「気をつけてください。あいつは相当、ネコかぶってる!」。
一見、好青年の風貌の裏に、実は「かなりひょうきん」な一面を隠している、と本人も笑いながら打ち明ける。
ド派手なアフロヘアで登場したのは昨シーズン。
おだてられると、思わずしてしまうという珍妙な決めポーズ。
この日は、最終18番で飛び出した。
人差し指を天に突き上げ「フィーバー!」だ。
沸き起こった拍手と歓声、そして笑い声。
「プロはそうでなくちゃ!」とのギャラリーの褒め言葉がうれしい。
「プロでやるからには、エンターテナー的なパフォーマンスも大事だと思うから」。
少しでもツアーを盛り上げたいとの、熱い気持ちの表れでもある。
この日3日目もやっぱりティショットで刻んだのは9番ホールだけ。
しかし、単独首位で迎える最終日はこの日の失態を教訓に、9番もドライバーで行こうと思っている。
難攻不落の三好で、常にドライバーを握る石川くんの大胆なプレーが話題だが、自分だってという思いがある。
「4日間のゴルフで遼くんに勝ちたい」。
スコアだけでなく、存在感でも16歳を凌駕したい。プロ4年目の意地を見せたい。
藤島のひとつ先輩、宮里優作の話
「藤島は、学生時代から、いつも俺と回るとスコアが良かった。間違いなくあいつにとって、俺は“アゲ”。今日も逆転されて悔しいけれど、でも嬉しい。学生時代には、2人でツアーで優勝争いできるなんて思ってもいなかったから。しかし、気をつけたほうがいいですよ。あいつは、ネコかぶってるんでね。18番のパフォーマンスでも分かるとおり、かなりのお調子ものですから(笑)」。
藤島豊和ふじしまとよかず
1981年7月8日生まれ、熊本県天草郡出身。
姉は女子プロの妃呂子さん、弟・晴雄さん、末弟の征次さんも現在、プロ修行中のゴルフ一家。
豊和がゴルフを始めたのは中学2年。妃呂子さんと一緒に練習場に行ったのがきっかけだった。
アマ時代には、2002年の日本アマで東北福祉大の先輩・宮里優作と準決勝で直接対決。藤島が、宮里を3アンド2で倒して決勝戦にコマを進めて準優勝するなど、活躍した。
2004年にプロデビュー。今季は、ツアー出場優先順位を決めるファイナルQTでランク11位に入り2年連続の本格参戦。
サントリーオープンで自己最高の4位に入ったものの、現在賞金ランクは68位と、初シード入りにはまだ少し遠いだけに今週が踏ん張りどころだ。