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UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ 2007

ディフェンディングチャンピオンが無念の予選落ち

昨年の最終日は、2位と4打差の単独首位で迎えた18番。同じ最終ホールでも「こうまで違うものだろうか」とぼんやりと思う。この日2日目、うつむき加減にグリーンに上がってきたディフェンディングチャンピオンは、完全に打ちのめされていた。
自らに吐き捨てるように、つぶやいた。

「2日間で終わりなんて・・・ほんとうにみっともない」。

通算7オーバーはもはや、予選落ちも免れない順位。
連覇、というよりも「また今年もこのメジャー大会を勝つんだ」と、準備も万端に乗り込んできたはずだった。

会場入りするなりポスターや看板、チラシ・・・。ありとあらゆる場所に、自分の顔が大きく飾られていることに気がついた。
タイトルスポンサーのUBSや、大会主催の日本ゴルフツアー機構のスタッフが「昨年の優勝者として僕のことをとても丁寧に扱ってくれていることが伝わってきた」。

その気持ちに答えたい一心で初日を迎えたはずだったのに。

「プレッシャーはある。当然なんです」。
それでもなおここで、良いプレーを見せることが自分に課せられた責任だと思っていた。
生真面目すぎる性格が災いしたのだろうか。
熱い思いとは裏腹に、プレーは空回りする。

4オーバーを打った前日初日。専属キャディのゲーリーさんがポツリと言った。
「今日のタツはナーバスすぎた」。
のしかかる重圧は、この日2日目もついに跳ね除けることはできなかった。
13番でダブルボギーを打って事切れた。
ゴルフの内容自体はけして悪くなかったと思う。
しかし「残りホールで取らなきゃ、取らなきゃと思うあまりに自分のゴルフができなかった」。
思うようなゴルフができないもどかしさ。

この日応援に駆けつけた妻・葉月さんは今年も、翌大会3日目の30日に行われる小学生のスナッグゴルフ全国大会でテレビリポーターとして活躍することになっていた。
たとえ下位でも決勝進出をして少しでも上位を狙い、“夫婦共働き”で頑張ることが目標だったのに。

「・・・ここ最近ないくらいに悔しい経験」。
そう言ってから髙橋は、ふいにくるりと背中を向けた。

泣いていた。

本人にも思いがけずこぼれ出た涙はしばらく止まらない。
予選落ちをして、これほど全身で悔しがる選手はそうめったにいるものではない。
それくらい、このツアーNO.1を決める大会に賭けていたのだ。

太い腕で慌てて赤い目をゴシゴシこすって再び向き直った髙橋は、毅然と言った。
「・・・これも俺の実力だから。また、次だよね!」。
この日流した男の悔し涙は、今後のゴルフに必ず生かす。

そして最後に髙橋は、UBSをはじめ関係者の方々が控えるスポンサールームに真っ先に向かい、礼の言葉を残して会場を後にしたのだった。