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キヤノンオープン 2009
連覇を狙う、井上信
サン・クロレラ クラシックの2日目に無念の棄権をしたあとは、ほとんどクラブが握れず、懸命の治療につとめたが、主治医にも完治の見込みはないと言われた。
「他の選手に聞いたら、けっこう同じ痛みで悩んでいる人が多くて。職業病ですね」と、無理に浮かべた笑顔も痛々しい。
「休んでいても一緒なので」と9月から復帰したが、症状は相変わらず。ホールアウト後はアイシングで腕をぐるぐる巻きにして、電気やマイクロウェーブなど、ありとあらゆる方法で、回復をただひたすら待つしかない。
そんなハンディを抱えながら「もう、あとは気持ちだけで」執念の連戦を続けているのは、夫人の明日香さんのためにほかならない。
昨年、新婚の夫婦揃ってここ戸塚カントリー倶楽部で4年ぶりのツアー通算2勝目の美酒に酔いしれた愛妻は、再来週にも出産予定日を控えており、待望の長男はひょっとしたら今週にも誕生するかもしれない。
父と子の感動の対面の瞬間は、「こちらがゴルフで失敗してテンション激下がり・・・という状態だけは絶対に避けたい。妻も、そんなことは望んでいないと思うから」。
そんな事情があるだけに、連覇にかける思いはなおさらなのだ。
「僕がゴルフで頑張ることは、彼女の一番の喜びだから」。
出産祝いもぜひ、本業で。
痛みをこらえ、思い出の舞台で今年は新米パパとして踏ん張る!