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谷口拓也が講演会で子供たちに伝えたかったことは…

ひとつひとつ目標をかなえてきた自身の29年間の人生と重ね、具体例を出しながらの講演会に、子供たちのイメージもふくらんで…
最初から、淀みがなかった。谷口が、子供たちに伝えたいことは最後までブレることなく明確だった。この日最後の授業は『夢を持とう』をテーマにした講演会。しかしいきなり「夢を持とう」と言われても、気後れしてしまう子供たちも、多いのではないだろうか。

そう考えた谷口は、黒板に「夢=目標」と書いた。
そして、こう切り出した。

「夢を持とうと言われてもなんだか漠然としていて、難しいと感じる人もいると思います。だから、僕はこの“夢”を“目標”と言い換えたいと思います。これならなんとなく身近に考えられるでしょう?」。

さらに、その隣に白いチョークで“努力”と書き込んで、3つの文字を何度も丸で囲みながらこう語った。

「“目標”を達成するためには“努力”しなければいけない。その中には苦しいこともたくさんあるけれど、一歩一歩努力をして目標を達成すれば、その先には大きな“喜び”が待っているということを、みんなには、忘れないでいて欲しいんです」。

そして“努力”の下に“コツコツ”と小さく書き加えた。
「ウサギとカメの話はみんな知っていると思うけど僕は、みんなにコツコツと努力を続け、ついにはウサギに勝ったカメのような人になれ、と言いたいです」。

その過程を自身に重ね、これまで29年間の人生を振り返れば、失敗や挫折のほうが断然多い。
小学時代はサッカー選手になるのが夢だったがなぜかコーチとの諍いが絶えず、やむなくゴルフに転向したこと。

「プロゴルファーになろう」との目標を持った矢先にブランコから落ちて複雑骨折し、1年間ほとんどクラブが握れなかったこと。

東北福祉大2年時には、監督に2度の退部処分を受けたこと。
しかし、そのたびに心を入れ替え小さな努力の積み重ねで目標を叶えていったこと……。

挫折や失敗など簡単に吹き飛んでしまうほどの、大きな出会いにも支えられた。
それを上回るほどの喜びもあった。

香川西高3年時に全国大会で上位に入り、あのタイガー・ウッズにレッスンしてもらうチャンスを得たことがそれだ。プロへのあこがれが、ますます増した瞬間だった。
大学4年時に四国アマで連覇を果たしたとき、プロとしてやっていく自信もついた。

22歳でついに念願のプロ転向を果たしたが、夢はそこで終わりではなかった。
プロになってからは、ツアーで勝つという新しい目標のために頑張った。
ツアー2勝をあげて目標を達成した今、一番の目標はマスターズに出場することだ。
そのために、厳しいトレーニングに耐える日々だ。

「夢は、叶えたらそれで終わりじゃないんです。ひとつ叶えたらまた次と、どんどん出て来るもの。今回のテーマは“夢を持とう”だけれど、僕はみんなには“夢を持ち続けよう”と言いたい。そしてそのためにどんな努力をしていけばいいかを、常に考えられる人であって欲しい」と、結んだ。

  • 講演会では、合間に先のスナッグ講習会で仲良くなった5年生に自分の夢を発表してもらうなど、話が一方通行にならないよう谷口なりの工夫を…!!

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