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長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント 2008

芹澤信雄が復帰第1戦

スタートから、痛恨の6連続ボギー。「プロ人生初の大失態」に「やはり早すぎたか」の懸念もよぎった。「せめて他の選手に迷惑がかからないように・・・」と同伴競技者を気遣う一方で、それ以上に芹澤の心を占めていたものは、「ここにいま、自分がいられることの喜び」だった。

通算4オーバーは128位タイと大きく出遅れたが、「こうしてボールを打てるだけで幸せだから」と、しみじみと話した。

持病の左肩の手術に踏み切ったのは、昨年の12月25日だ。
1ヶ月ほどでギブスは取れたが、そのあと丸半年間、クラブさえ握れなかった。
カンが鈍らないようにと右手1本の素振りは欠かさなかったが、それでも不安でたまらなかった。
「もしかしたら、二度とゴルフが出来ないかもしれない・・・」。

ときおり胸に渦巻く絶望感も、いつもの明るいキャラで包み込み平静を装った。
「ちょうど良い機会だから」と、弟子の藤田寛や宮本勝昌の指導によりいっそう力を入れやものの、その間にも引退の二文字は何度も頭をよぎったものだ。

それだけに、この日1番ティに立てた感動はひとしおだった。
怪我の影響もあって今季は出場権がなく、この自身の今季初戦も主催者推薦を受けての参戦。

ここ1ヶ月で急ピッチの調整を重ねたものの、「やはりトーナメントのセッティングは難しく、長く試合に出てない選手にとってはなおさらです」と白旗をあげつつ、今季の目標はシード復帰だ。
「みなさんには甘いと言われるかもしれないけれど、そのくらいの覚悟がなければ試合に出る意味がないからね」。
今こそ、プロ26年の経験の見せ所だ。48歳が、はちまきを締めた。

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