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カシオワールドオープンゴルフトーナメント 2007
シード権に“挑む”
次週の日本シリーズJTカップは今季の優勝者と、賞金ランク25位までしか資格がない。ほかのシード権争いの選手と同様に、今井にとっては今週が事実上の最終戦だ。
初シード入りは参戦1年目の2000年だった。
その前年、ツアーがプロライセンスを持たない選手にも広く門戸を開き、クォリファイングトーナメントをスタート。その第1次から勝ち上がり、最終ステージ(当時は全3段階)まで生き残り、出場優先順位の42位を獲得。
スポットを浴びたのは、その翌年の10月だった。
東海クラシックで優勝争いの末に3位につけた。その年の賞金ランクは70位で、プロ資格を持たないシード選手の第1号として注目を集めた。
あれから8年の間に今大会を含むツアー2勝をあげた。シードの常連として、順調に階段を駆け上がってきた選手がいま大きな試練を味わっている。
ちっぴり破天荒な私生活をゴルフ雑誌で連載するなど、底抜けに明るい性格は自身も敬愛するスキープレーヤー、アルベルト・トンバさんの愛称を取って「ラ・ボンバ今井」とか、姓名の頭を取って「イマカツ」などと呼ばれ、親しまれている。
周囲に見せる、そんなおどけた表情とは裏腹に「本当の性格は、クソがつくほど真面目」とは、本人の弁。
「一度、悩みだしたら止まらない」という。
体調のほうは「すこぶる元気」で、不振の原因はどこにも見あたらないというから、何より精神的なものが影響しているのだろうか。
「3、4年前からシードを取るためのゴルフになってしまって、それができたら“はい、お疲れ”みたいな・・・」。
それではいけない、と思いつつ、なんとなくここまで来てしまった。
内心、悶々としたものを抱えたまま今年スランプに陥って、いっこうに解決の糸口も見当たらないままいよいよシーズンも終盤を迎えてしまった。
ここまで来たら、ジタバタしても仕方ない。
すでに、本人の中では吹っ切れていて「来年は、原点に戻ってアメリカのミニツアーに出てもいい」とか「マンネリを脱して、“NEWイマカツ”をこれからどう作っていくか」などと、前向きな一面を取り戻しつつあるという。
「もちろん、たまに落ち込むこともありますが、落ち込んでる暇があるのなら、プロなんかやめてしまえばいい、と・・・」。
そう言い聞かせて気持ちを奮い立たせているが、やはり居たたまれないのは家族や友人をはじめ、心配してくれる人たちの存在だ。
「奥さんはもちろんそうだし、なにより両親が一番・・・ね。周りからもいろいろ言われて、たぶん僕よりも相当参っていると思うから」。
周囲のためにもなんとか結果を、と思うあまりに「プレッシャーを背中に1トン近く背負ってしまったり・・・」。
それでかえって、思うようなゴルフができないことも多々あるが「そんなものに、押しつぶされてしまうこと自体がダメ!」と自らを叱り飛ばしてこの最終戦で「せめて今の自分の力を100%、発揮しよう」と、決めている。
千葉県浦安市に住むご近所プロで結成された“新浦安会”会長の尾崎直道も、どこかの雑誌で言っていた。
「人間、諦めたらそこで終わり」。
その言葉を胸に、今週は最後の1打まで諦めないつもりだ。
写真=先週のダンロップフェニックス会場で行われた来年のプロフィール用の写真撮影で、カメラマンの方のめがねをその場で拝借してパチリ。何か面白いことをしなければ気がすまないお祭り男は、この最終戦で来季の出場権を確保できるか・・・。