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JCBクラシック仙台 2000
東聡が、18番で右林に打ちこむピンチも見事に切りぬけ、7バーディ1ボギーで通算10 アンダー、首位に浮上してきた
佐藤信人に逆転負けした5月の日本プロゴルフ選手権、翌週のマンシングウェアカップKSBオープンの会場にあらわれた東聡の髪型が、ガラリとかわっていた。丸刈りとまではいかないが、さっぱりとしたスポーツ刈り。ここ数年、東の髪型には見たこともない短さだった。
「(笑)別に…意味はないよ。確かに、95年の10月に切ったとき以来の短さではあるけどね」。
『95年10月』とは、まさに、賞金レースの真っ只中。なりふり構わず、がむしゃらに突っ走っていた時期だ。
“散髪後”のVISA太平洋マスターズで優勝し、年間4勝。賞金王へあと一息、というところで、尾崎将司に逆転され、結局、賞金ランク2位に甘んじた。
翌96年は、初めてマスターズに挑戦した。しかし、その後4年はランク20〜30台をうろうろ。勝ち星にも見放されている。
それだけに、「絶対勝つ」と豪語し、自らを奮い立たせて挑んだ日本プロでの敗退は、こたえたはずだ。
東の“練習の虫”は有名なはなし。しかし、通算10アンダーで首位に立った、2日目のこの日。「まだ、俺にはきっと練習が足りないんだ」とつぶやく。結局、ホールアウト後、約3時間、練習場から離れなかった。短く切った髪は、「まあ…、『今は髪を伸ばしている場合じゃないよ』ってところかな」。東聡が、なりふり構わず勝利にむかってひた走る。
★ 東聡のはなし
「今週は、パターをマレット型に変えている。ずっとパターで迷っていて、先週、試したのは5本。毎日、変えてプレーしたんだ。“現地調達”してね(笑)。でも、しっくりこなかった。
マレット型のパターは今週から。このパターなら、ちょっとひっかかったかな、というのもスっといくから、いい感じ。今週のグリーンは、非常に滑りがいい。このパターにしたら、パットが易しく感じるようになったよ。マレット型を持ったのは、96 年のマスターズ以来かな。
ショットは、相変わらず。最後のホールで右林に行くのも変わってない(苦笑い)。今日の18番は、ティショットが右に行って林の中。1本、ちょっと気になる木があって、超えるかな〜と心配だったけど、なんとか上を行ってくれた(残り距離は107 ヤード。サンドウェッヂでピン手前1,5メートルにつけ2パットのパー)。
今週は、球筋にこだわってコースに出ている。『こだわっている』というのは、その場面、場面に応じていろんな球種を打っていくというこだわり。どんな状況でも、その場面にもっとも見合った球筋がピンに向かって打っていけるか、という点にこだわってラウンドしているんだ。今日は7割がた、思ったとおりにできたかな。でも、勝つためには8割はできないといけないだろうね。練習場では出来るのにコースに出ると、球がもうひとつ、扱いきれてない。まだまだ、練習が足りないってことなのかな…。大事な場面で、練習場で使った球筋が、使えないんだ。ピンをちょっとはずして、とか“逃げ”の部分がまだ、出てきてしまうんだね。
今週は、日本プロのコースのタイプとはまた違って、『(チャンスを取って)行かなきゃ』いけないコース。行き倒さないと勝てないと思ってる」