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ダイヤモンドカップゴルフ 2011

増田伸洋が恩返しを狙う首位発進

ある年の春は練習の合間に秘密の場所で、タケノコの収穫を楽しんだ。コース内の沼地でブラックバスを釣り上げたこともある。ツアー1勝のトッププロに成長した今も、アプローチ練習場で練習すると「ちょっと緊張する」という。「昔はここで、アプローチをしちゃいけない、と言われたので」。こっそりルールを破ってメンバーさんに見つかって、叱られたあの日が今も鮮やかによみがえる。

20年分の思い出がぎっしりと詰まったここ千葉カントリークラブで、好スタートを切った。前半の13番パー3は7番アイアンで、あわやホールインワンのスーパーショット。
14番のパー5は、残り250ヤードから5番ウッドで15メートルに乗せてイーグルを奪った。

勝手知ったる庭で6アンダーの66は、「ノーボギーです」と胸を張る。事務所も、フロントも、レストランも、マスター室のスタッフも、みな顔馴染み。「頑張って、と送り出されてこのスコアですから」と、満面の笑み。

各地の名門コースを巡るこのサーキットトーナメントの2011年の開催コースがここと決定したときにも瞬時に思った。
「地元で、育ったコースで、ここで結果を出すことが、恩返しになる」。
それを現実のものとするためにも、またとない好発進だ。

千葉県は流山市の自宅から車でわずか10分というこのコースの門を、初めてくぐったのは20年前、18歳のときだ。高校時代は、日本代表にも選ばれたほどのラガーマンが、卒業と同時に一念発起でゴルフに転向。
父親の経営する「双伸ゴルフセンター」の看板プロになると決心した際、まったくの初心者を、研修生として快く受け入れてくださった。

入って3ヶ月目のラウンドでハーフ45を打っていた少年が20年のときを経て、ベストスコアタイでトップに立った。「このコースでこんないいスコアを出したのも初めて」と、会心のラウンドで恩人たちを喜ばせた。

今もオフに使わせていただいている練習コースは今月も大型連休中に、お客さんたちの合間をぬって、ラウンドさせてもらったばかりだ。
「通常営業よりラフは深いし、フェアウェーは狭いし」。それでも、もう何度回ったかしれない経験が、大きなアドバンテージであるのは間違いない。

「ここで好スコアを出すコツは」と聞かれて「うう〜ん」と口ごもる。
「回れば回るほど、行っちゃいけないところとか、グリーンもね、あぁなるほど、と。たとえば13番はドライバーで行きたいところだけれど、右のバンカーより左がいいとか」。

なんとなく、ぼやかしぼやかし答えていた増田が、たまりきれずについに吐き出す。
「言いたくないなあ・・・! 少しくらいハンディ欲しいよ!!」と、口にチャックもここで恩返しの1勝を狙えばこそだ。

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