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VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント 2010

津曲泰弦がコースレコードタイとなる63をマーク!

猛暑の中、応援に駆けつけてくださった恩人に捧げる好スコア。今季、スランプに苦しんでいた津曲が、ようやく復調のきっかけを掴んだ。スタートこそ躓いた。1番は「朝イチのティショットがダフって200ヤードしか飛ばなかった」と、2008年にはドライビングディスタンス1位、身長187センチの飛ばし屋が、いきなり身も縮む思い。

しかし「ここをパーで切り抜けて、いい波が来た」。
そのあとは、危なげなく後半は17番パー3で、7番アイアンは右5メートルの「ちょいフック」を決めて、いよいよ最終18番。

3番アイアンの2打目は「こすって」右のラフに打ち込んだが難なく寄せて、この日9つめのバーディフィニッシュ。大会コースレコードタイは、63の大爆発で、単独首位に躍り出た。

シード2年目の今年は絶好調で、シーズンを迎えたはずだった。
開幕戦の「東建ホームメイトカップ」は初日に6位タイにつけながら、2日目に77を打って予選落ち。たちまち自信を失った。
「そこからおかしくなって、ずっとそのままで来てしまった」と悔しそうに振り返る。

特に、得意なはずのドライバーショットが怖くて仕方ない。
「飛んで曲がる」という悪循環が続くうちに、「クラブが降りてこなくなってしまった」。
いわゆる、イップスの症状が出ていた。
ボールにまともに当たる気がせず、たびたび「空振りするかも」という不安に襲われるように。

先週まで12試合に出場して予選通過はわずか2回。「今年はどうなってしまうのか。これからどうなるんだろう」と、一人ベッドで考え始めるともう、酒の力を借りないと眠れない。
宮崎県の串間市出身は、もともと酒は強いが、いつもより酒量が増えてもなお酔えず、「美味しいとも思えなくなってしまった」という。

そんな悪夢からようやく覚めたのは、2週前だ。ツアーは2週間のオープンウィークを利用して原点回帰。
宮崎からわざわざ、中学1年のときから見てもらっているインストラクターの中山勇一さんに、所属コースの千葉夷隅ゴルフクラブまで来てもらったら、一発で悩みは解決した。

「クラブと身体が離れすぎているよ」と言われて、スランプから抜け出した。
今大会の開幕直前は、25日(水)にたまりにたまった厄も「全部落とした」。
今年からスポンサー契約を結んでいる「Shampoo boy(シャンプー・ボーイ)」は長崎県の佐世保を拠点に、全九州で店舗を展開する美容院だ。

その福岡は天神店で、ヘアパックと顔パックで気分一新。「肌もすべすべで、本当に気持ち良くて。リフレッシュが今日のスコアにつながりました」と、感謝した。
また、この日は同店の山口浩・代表取締役社長の声援を受けて発奮したが、恩返しも1日だけでは物足りない。
「明日以降も、自信を持ってプレーしたい」。九州男児が地元でようやくお目覚めだ。

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