記事
若い力が躍動!! 今年の「ザ・ロイヤルトロフィ」
敵軍の欧州メンバーは17歳、イタリアのマテオ・マナセロも含めると、10代が3人も。アジアチームは19歳が2人。石川遼は、その若さで3年連続3回目の出場だが、盧承烈(ノスンヨル)は、初参戦。
チームで唯一、負けなしの大健闘で、昨年のアジアンツアー賞金王の実力を見せつけた。
初日、2日目はリャンと組み、圧巻の2連勝をあげた。
最終日は、ヘンリク・ステンソンを相手に引き分けに終わったが、長身揃いの欧州勢にも引けを取らない飛距離と安定感、そして何より、何事にも動じない精神力の強さが光った。
チームの敗退には「悔しい…」と、本当に残念そうに唇を噛みながらも「最後まで一生懸命にプレー出来たから。自分としては、後悔はありません」と、きっぱりと前を向いた。
そしてあとは、20代の3人だ。
今年26歳の池田勇太を筆頭に、賞金王の金庚泰(キムキョンテ)は25歳、21歳の薗田峻輔は最終日のシングルス戦で、マナセロに1アップで破れて憮然とした表情を隠さなかった。
初日、2日目は石川と組んで、17歳を撃破したものの「マテオが上手いのは分かっていたから。自分が先に躓いて、それを最後まで引きずってしまった」と、最終日のシングルス戦は一度もリード出来ないまま終わったゲーム展開を悔やんだ。チームとしても、欧州の連覇を阻止できなかったことが、悔しくてたまらないようだった。
池田は昨年もメンバーに名を連ねていたが、シーズン中に痛めた腰が原因で、直前にキャンセルせざるを得なかった経緯がある。これが初出場で、なおさら気合が入っていただけに、「自分としては、1回しか勝てなかったことが悔しいね」。
2日目にタイのトンチャイ・ジェイディと勝ち星を持ち帰ったが貢献したのはその1日だけ。
「ジュニア時代から良くしてもらっている」という尾崎直道にも王冠を返せなかった。
「昨日、俺たちが勝ちすぎたから。ヨーロッパが絶対に来ると思っていた」と、欧州の逆襲も、その若さで世界を知る池田としては、十二分に予測出来ていただけに、それに抗いきれなかった自分を責めた。
18番グリーンで行われた表彰式のあと、ロイヤルトロフィを囲み、記念撮影に応じる欧州チームのかたわらで、アジアは解散した。それぞれの地に散るメンバーを一人一人、握手で送り出しながら「悔しいけれど、今回のことはリセットしよう」と、直道は言った。
「みんなそれぞれに勝負の厳しさ、1ポイントのつらさを感じられたことは、良い勉強だった。でもそれを引きずることはない。今後のゴルフ人生に生かす。それだけでいいんだ」と、一人一人の肩を力強く叩いた。
今回は、父のマネージャー役として現地に赴き、メンバーへの細やかなケアで大活躍だった長男の貴将くんも、彼らと同世代の20歳。息子も含めて「みんな若いよなあ……!」と、ことある事に恨めしげな声を上げていた直道は、今年はキャプテンとしての役割に加え、プラス若手5人衆の“父親役”としても大いに奮闘した3日間となった。