記事
JCBクラシック仙台 1999
負傷しながら踏ん張った堺谷和将
三菱自動車初日は、午前中、強風と豪雨で大荒れの天気。その中で、懸命にスタート前の練習に励んでいた堺谷は、左腕を抑えながらハウスにかけこんできた。
「腕が…腕がいたいよ〜!!」
悲痛な声だった。
5月初旬のフジサンケイクラシックのころから痛み出した、左ひじ周辺の腱が、限界に達したのだ。
「200ヤードくらい飛べばいいや、くらいの気持ちで無理して打っているうちに、それも、だんだんだめになってきたんです。これじゃもう、きっと来週以降は試合に出れない。オレ、これでだめになっちゃうのかな…。とにかく医者いってきます」
185センチもの大きな体を、しょんぼり縮めて堺谷はコースを去った。
その堺谷が、今週いきなり爆発だ。
アイアンが、おもしろいようにピンに絡む。
難しい距離のパットも、次々沈めた。
4番ロング。グリーン手前から8ヤードをサンドで直接入れて、波に乗った。
5番ミドルは残り150ヤードを7番アイアンで1,5メートルにつけてバーディ。
11番では、ピンまで5メートルのバーディパットをしずめ、12番ロング(411ヤード)は、注射でなんとか痛みをしずめた腕で、残り235ヤードを2オン。
14番は第2打、7番アイアンでピン奥8メートルに乗せて「これが入っちゃいました」。 15番、17番もきっちり2メートル以内に寄せて、8つのバーディ(1ボギー)を積み上げホールアウト。
「スタートするころはもう、飛ばなくてもいいやって諦めてたけど、スコアもいいし、まわっているうちにだんだん痛みが麻痺して、気合が入ってきました」と、とにかく1ラウンド済んで、ホッとした表情。
あと3日間、痛みと不安に耐えられるか本人も不安は残るようだが、
「腕のせいで、ここ1月ろくなゴルフができなかったから、なんとしても回りぬきたい」と、腕をかばいながらも闘志をみなぎらせていた。