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カシオワールドオープン 2008
原口鉄也「最後くらい良いとこ見せないと」
知人を介して意気投合したのは、ドンファンが来日した2年前だ。
当時、ドンファンは19歳。
韓国から来たばかりで慣れない環境に、戸惑う後輩の面倒を何くれとなく見てきた。
原口を“アニキ”と慕うドンファンも「本当にお世話になった」と感謝するが、「成績ではやられっぱなしで」と、原口は苦笑する。
ツアー初優勝で先を越されたばかりか今年は、このカシオワールドオープンが最終戦の原口に対し、
次週のツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で2年連続の出場権を獲得したドンファンとは、これが一緒に戦う今年最後の試合となる。
しかも、このあとしばらく会えない。
ドンファンは今年12月から2年間、母国で兵役につくからだ。
別れを惜しんだドンファンが、この日もコースに来て、18ホールをついて歩いてくれた。
「せめて良いところを見せたかった」という原口は「生意気だけど、可愛くて仕方ない。年は下だけど大事な親友」という後輩に、13歳年上の意地を見せたかった。
最終18番で「アニキ、ナイスプレーです!」と声をかけられ、満面の笑みで応えた。
ドンファンは、これでコースを去る。
次の会場に向かう。
「お前がいないと、寂しくなるなあ・・・」とつぶやいた原口は可愛い“弟”がいない最終日の会場で、さらなる浮上を約束していた。