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アジアが初勝利!!

ジェイディに浴びせかけられたシャンペンシャワーと…
キャプテン・ジョーは表彰式でタイのトンチャイ・ジェイディに副賞の高級シャンパンを頭から浴びせられ、そのあとメンバー8人の手で、9番グリーン横の池にはめられた。
びしょ濡れのまま臨んだ優勝会見。

「…いま、僕は非常に頭に来ています!!」。

底の石ころが見えるほど浅かったから、まさか落とされることはないだろうと油断していた。
祝福と称し、どさくさに紛れてみごとにやってくれたやんちゃなメンバーたちに、口では一応怒ってみせたが、頬に深く刻まれた笑顔は依然として消えない。

アジアVS欧州の対抗戦「ザ・ロイヤル・トロフィ」は、アジアチームが10対6ポイントで快勝した。
4.5ポイント差をつけて迎えた11日(日)の最終日に行われたシングルス戦は、計8マッチのうち3勝1分け。

2ポイント先取でアジアの勝ちが決まるという楽勝ムードの中、石川がデンマークのハンセン相手に大接戦を繰り広げ、土壇場で執念のドロー。

谷口はスウェーデンのフェスを7&6で圧倒し、絶好調の地元・タイ出身の2人は、いずれも5&4と付けいる隙すら与えず、欧州チームの息の根を止めた。

この日、マークセンと対戦したスペインのララサバルはあまりの強さに途中、苦笑したままへなへなとその場に座り込んだほどだ。

大会3回目にして悲願の初タイトル。
特にキャプテン尾崎には、待ちに待ったこの瞬間だった。
初代の倉本昌弘からバトンを引き継ぎ、初のキャプテンに就任した一昨年は、とうとう1マッチも勝てないまま屈辱の惨敗。
「ヨーロッパになめられた」。そう思った。
「絶対にこのままでは終れない」。リベンジを誓った昨年は、しかし国王の姉の逝去で大会が中止。
それから2年間というもの、焦れる思いでこの日を待った。

「前回は、チームワークばかりが気になって勝つという意識が薄かったのが反省点」。
今回はただひたすらに勝利だけを追い求めていこうと、そう心に誓うまでもなく尾崎は直感していた。
初めてメンバーと顔合わせをした瞬間に「これはいいチームだ、と」。
そして「今年はチャンスだ」と、そう確信したという。

勝因は、なんといっても初日から2日間のダブルス戦。
キャプテンの采配も完璧に、最初に大量リードを稼いだことだ。
これこそチームワークのなせるわざ。

オラサバル率いる欧州チームは前回のアジアの大敗もあって開催前から、おそらく「3連覇は楽勝」と踏んでいただろう。
病床にある先代のキャプテン、セベ・バレステロスに優勝報告ができるものと、確信していたに違いない。
いざ、戦いが始まるまでは…。

しかし、アジアの「絶対に勝ってみせる」という情熱の前に倒れた。
常勝ムードの欧州を、完璧に突き崩した。
アジアの底力を見せつけた。
キャプテン・オラサバルに「今年のアジアは強かった。ロイヤルトロフィ奪還のため、来年は心してかからなくてはいけない」と、言わしめた。

「“これ以上なめられたくない”という強い気持ちが今回、アジアのひとつのエネルギーになったのだと思う。そういう意味でも、この勝利には大変大きな意味がある」と、尾崎は言った。

優勝スピーチで「ようやく夢が叶った」と声を上ずらせたキャプテンに、海外メディアからこんな質問が飛び出した。
「今回、アジアには8人の“タイガー・ウッズ”がいましたね」。
「…イエス、オフコース!」。
尾崎がそう力強く頷いたとき、脇を固めた8人の“ウッズ”たちは、これまでのどのシーンよりも嬉しそうにはにかんだ。

最終日(シングルス戦)の結果
             
A/S 石川遼 vs ソレン・ハンセン
W・リャン vs ポール・ローリー 3&2
チャーリー・ウィ vs ニック・ドハティ 1UP
5&4 プラヤド・マークセン vs パブロ・ララザバル
谷原秀人 vs オリバー・ウィルソン 3&2
S・K・ホ vs ヨハン・エドファルス 5&4
7&6 谷口徹 vs ニコラス・フェス
5&4 トンチャイ・ジェイディ vs ポールマッギンリー

        3日間TOTAL<アジア 10:6 欧州>

  • メンバーたちの手荒い祝福でびしょ濡れ…!
  • 「おまえら〜!」とすごんでみせたが、頬は緩みっぱなしのキャプテン・ジョー
  • みんなで力を合わせて掴んだ初タイトル…!!

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