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日本オープンゴルフ選手権競技 2012

平塚哲二は「日本一のタイトルは年々、重くなる」

たとえショットが風に流されても深いラフから寄せて、拾う。それこそいまも世界中を駆け巡る40歳の真骨頂だ。午後から少し止んだかな、と思った風は、すぐにまた息を吹き返して、上がりホールは強い風雨も吹き付けた。

2日目も相変わらずの難条件も、ピンチから幾度もチャンスを作ってモノにした。
奪ったバーディは、この日もっとも多い6つ。

またこの日3人目のアンダーパーをマークして、通算1オーバーは2位に3打差つける単独首位にも、「向こうでこのスコアなら、優勝争いどころか予選通過も難しい」。

2009年から掛け持ち参戦を始めたアジアンツアー。3勝を足がかりに、今季から欧州ツアーにも足を伸ばした。
「ヨーロッパの選手たちは、今日みたいな風の中でも普通にプレーをしてくるので」。
そこでの経験が生きているとかいう実感は、本人にはない。
むしろその中で、何度も叩きのめされてきたという記憶のほうが強い。

それでも、今週は予選ラウンドで、沖縄出身のベテラン友利勝良と、やはり地元のアマチュア比嘉一貴さんを見ていてつくづくと思うことは、「アプローチのうまさ。比嘉くんも、普通の高校生では打てない球を打つ」。

すっぽりとボールを覆い隠す独特のティフトン芝は、平塚もその対策として59度と60度のサンドウェッジ2本を使い分けることでどうにか対応できているが、この2人にはかなわない。

「それは沖縄でずっとやっているから。やっぱり、慣れって凄い」と思うにつけても、自分もまたアジアや欧州で、強い風の中で揉まれてきた経験が、確かに生きているのだろうとはなんとなく想像がつく。

「それに僕は普段からショットの調子が悪いんでね。フェアウェイを外しても、グリーンには乗らなくてもアプローチとパター勝負は、普段からやっているから」と、それも慣れのひとつの現れかと言って、ガハハと笑った。

「ショートゲームで少ないチャンスをモノにする」。そのことに、至福の喜びを感じる。強い風の中のラウンドは、もちろん平塚だって苦しい。
しかし、苦しんで苦しみ抜いて、絶妙のパーセーブを奪ったときにこそ、頑張ってきて良かったと思う。
「苦しい中でやるほうが、喜びも倍になるでしょう?」。
それこそが難コースでこそ、この選手が生き生きと輝く理由だ。

この日本一決定戦も、若いころには何の感慨もなかった。「自分には関係ない」と、どこか人ごとで「特別な思いもなかった」。しかし経験を積み、国内外で勝ち星を重ね、いよいよ不惑の年を迎えた今は「年々、タイトルの重みを感じている」。

ましてこうして首位で決勝ラウンドに進むとあらば、「意識したくなっちゃうけど、明日もすっとやれたら」。ビッグタイトルだからと好きな酒を控えることもなく、「今日も流れで。次の日に残らん程度にね」と、笑った。


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