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フジサンケイクラシック 2011

星野英正は「良いスコアが出て当たり前」(1R)

大会3日目までのびた第1ラウンドで、2アンダーは単独2位と絶好のスタートも、渋い顔をして引き上げてきた。
ニコリともせず言い放つ。

「俺は恵まれている」。
午後組だった星野は中止になった初日と、降雨でサスペンデッドになった2日目もスタートさえ出来なかったが「休めて良かった」。

良い休養が取れたのは良かったが、その間に大雨の中プレーを続けた午前組の選手のことを思えば、手放しで喜べるはずがない。

この日は、3番での中断1度で済んだ星野らの午後組と比べるにつけ「あまりにも状況に差がありすぎる」。

雨も、至るところに“川”が出来た前日ほどには降られなかった。毎朝、早起きをしいられた午前組は、そればかりか中断・再開を何度も繰り返すその過酷さは、とても他人事とは思えない。

自分の69というスコアも「自分の中では複雑。僕らのほうが条件が良いのだから。良いスコアが出て当たり前」と憮然と言った。

荒天の中、見に来てくださったギャラリーのみなさんのことも気にかかる。「プロのプレーを見せてあげることはもちろん大事だけれど、それだけでいいのだろうか。もしも傾斜ですべって怪我でもしたらどうするのか。運営スタッフもそう。朝から晩までコースに出て、夜には雷も鳴っていた。命にも関わることでしょう。ゴルフよりも命のほうがずっと大事でしょう」。

宮城県出身。3月の大震災で、実家が被災しその恐ろしさを骨の髄まで経験しているだけに、誰か一人でも危険な目に遭っていたらと思うと黙ってはおれなかったようだ。
2008年以来のツアー通算4勝のチャンスにも、そんな気持ちにはとてもなれないようだった。「優勝したいとは思わない。明日はただ、18ホールをこなすだけ」。複雑な思いを背負ったまま、淡々と富士桜を歩く。

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