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つるやオープンゴルフトーナメント 2011
高校3年生の浅地洋佑くんが4位タイ
「“ありがとうございます”とは言ってましたけど。本人はもっと出来るんだけど・・・という表情でしたね」。そう言って、笑っていた石川遼の読みは、当たっていた。
石川に3打リード。首位とは4打差の4位タイ。
2日目は6アンダーの65をマークして、優勝争いに加わったのだ。
まだ18歳のアマチュアだが、心構えはすでにプロのそれである。「来年のプロ入りを目指しているので。アマだから、という言い訳は出来ない」。夢実現に向け、技術面はもちろん、精神面、生活面すべてにおいて、それを意識しながら日々を過ごす。
この日はボギーが2つ。6番からの3連続も含めて、バーディは8つ。
9位タイに食い込んだ昨年5月のダイヤモンドカップ。ベストアマチュア賞を獲得したものの、「バーディが続いても、すぐにボギーを打ってしまったり、そこからバーディが取り返せなかったり」。
大勢のギャラリーや、他のプロ選手のレベルの高さに圧倒されたり。「緊張で思うように打てなくなって」。自ら流れを止めてしまうことも多かったが、もはやのまれることもない。
これまでは、つい夜更かしをしてしまうこともあったが、今は23時より遅くまで起きていることもない。特にこの日は7時10分のスタートに備えて、前夜は21時に就寝。早朝4時起きにも、スタートの1番からキレの良いショットでバーディ発進。
「早く寝ないと頭がボ〜っとしてしまうので」と、そこは18歳らしい照れ笑いで、昨年からの改善点を説明した。
また昨秋は、旺盛な食欲に体重が4キロ増。おのずと食事や量にも、気を遣うようになった。この冬には海外で、プロ並みの長期合宿を張り、たくましさも増してきた。
4月のマスターズで石川とともに、週末のオーガスタで大活躍した松山英樹さんは、その出場権をかけた昨年のアジアアマチュア選手権で、ともに戦った相手だ。
「凄いな、のひとこと」。同時に「あのとき一緒の組で回った選手がマスターズで予選を通過して活躍したことで、僕にも出来るんじゃないか、という気持ちになった」と、目を輝かす。
そしてマスターズで初の決勝ラウンドに進んだ先輩への尊敬の念はあいかわらずだ。「石川先輩は遙か彼方の存在。まだまだ自分は、比べられるようなレベルじゃない」と謙遜したが、当の石川は一笑に付した。「学校で、一緒にお弁当食べてたじゃない。遙か彼方の存在なら、一緒にお弁当は食べないよ」。
浅地くんのことは、小学生時代から知っている。
「大きな舞台でも動じない。昔から、そういうオーラがあった」と石川は証言する。
技術面では特に、「小技が同世代の子たちに比べて群を抜いていた」という。
「アプローチひとつとっても普通に打ってるところを見たことがない。フェースを開いたり、高く打ったり低く打ったりスピンをかけたり。小学生のころから本当にすごく上手かった」と、褒めちぎった石川は、「僕が出来ることは、洋佑にも出来る」と、断言した。
本人も「経験を生かして、明日も出来るだけ多くのバーディを獲りたい」。ニューヒーローの誕生に期待したい。