66は６アンダーのビッグスコアに「みなさんには申し訳なくて」と、恐縮しきりだ。今週は、全力を出し切っていない。「スイングも、２割か３割の力で振っているから」。深いラフのトーナメントが続いた夏場に、シード権のあるアジアンツアーとの往復も相まって「頑張りすぎて」。それが原因と思われる左肩痛は今週、棄権を考えたほどだ。

スタート前とホールアウト後には、ツアーに帯同するフィットネスカー「プレジャー」で電気やアイシング、マッサージとあらゆる治療を施してもらうが「本気で振ると、フォローが取れないほど痛くて」。

対策として、クラブのシャフトを柔らかい「Ｓ」タイプに替えて、軽めに振れば「なんとか戦える」とコースに踏みとどまったが、「まともに振れるのはパットくらい」。

そして、それこそが何よりの「救い」となった。この日は後半の12番で７メートルを沈めたのを皮切りに、怒濤の４連続目は15番でチップイン。

最後の18番では、７メートルのパーパットをしのぐなど、グリーン上でなんとか補いながらプレーするうちに、あれよという間に優勝争いに加わってしまった。

「自分に何も期待もしていないのに。リラックスしてプレーしているのがいいのかな」と、苦笑いで首をかしげる。
「今の状態で、こんな位置にいることがありえない。ちょ〜不思議です」。
これぞまさに「怪我の功名」か。

もっとも、思いがけず迎えた最終日最終組には「明日も優勝争いどころじゃない。お客さまに見せられるゴルフじゃない。恥ずかしいです」と、最後まで恐縮しっぱなしだったが･･････？！

• 谷原 秀人