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PGA・JGTOチャレンジカップ in 房総 2013

中断で明暗、わたり哲也と伊藤勇気

わたり哲也
わたり哲也は、前半を5バーディ、ノーボギーと快調に飛ばしていたが、9番ホールのセカンド地点で雷雲接近のため競技が一時中断した。1時間48分の中断後、プレーが再開されると、後半は1バーディにとどまった。「パッティングのタッチがあわなくなった。チャンスはあったけど、リズムが違って」いたために、バーディをさらに量産することはできなかった。通算9アンダー、首位と2打差の2位だが「前半良かっただけに」もう少しスコアを伸ばせたのでは、という思いは隠せなかった。

オーストラリアで経験をつんで若手の一人と思っていたわたりも、いつの間にか今年で30歳を迎えた。20代と違い、「30歳で自立」しなければいけない、と30代としての自覚もある。「僕らの世代が頑張らなければ、ツアーも危ない」と危機感を募らせる。試合がなくなれば、露出も減り、ひいては選手をサポートするスポンサーも減っていく。そんな状況を身にしみて感じている。だからこそ「一生懸命頑張らなければいけない」のだ。

現在はチャレンジトーナメントが主戦場だが、「ステージを上げていかなければいけない」と語る。「勝ち続けなければいけない」とわたりは優勝を狙う。「集中力を切らさずに2日間できている。もう一度いいリズムでプレーできたら」チャンスはある。

一方、中断後から調子を取り戻したのが、わたりと同じ組の伊藤勇気だ。前半は1バーディ、1ボギーだったが、後半に入ると4バーディ、ノーボギーで、この日は4アンダー68で回り、通算8アンダーの6位タイに浮上した。「前半は流れが良くなくて、ズルズルといかなくてよかった」と振り返る。

ここまで「ずっとよくなくて、ショットが曲がっていた。いろいろな人に教えてもらったが、いまひとつ」自分にパッとするものがなかった。先週のセカンドクォリファイングトーナメント(ファイブエイトGC)では落ちてしまい、今大会前にグリップを変えてみた。それまでウィークに握っていたものをかぶせ気味にストロングにして、ターフを深く取らないように振っている。
これが功を奏したのか、多少曲がってもリカバリーできるようになり、チャンスに付いたらバーディパットをきっちりと決めた。

日本ジュニア(2005年)や関東アマ(2006,2008年)に優勝し、アマチュア時代には将来を嘱望された逸材として知られていた。それが2009年にプロ転向後、主だった成績を残せていない。本人も忸怩たる思いをしただろう。「せっかくのチャンスだし、狙ってみたい」とここ数年の不振を一気に払拭してもらいたい。
  • 伊藤勇気

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