久保谷は練習仲間で飲み仲間。「今週は、毎晩一緒にご飯を食べた」。その席で「ダボだけは、打っちゃいかん」。

たとえ難コースでも、それだけは自分自身との約束にしなければいけないとの意見で一致した。

お互いに、３日目までは守り続けた。
久保谷は、「それが、自分が上位で戦えた一番の理由」と言った。
果たして、平塚はいよいよ最終日の２番で早々に、今週初のダブルボギーに、久保谷は「そこは、ヤツは自分で守りきれなかったんだね」と、気遣った。

平塚も「あのダボで、終わりました」と認めた。「あの時点で優勝ではなく、ベスト５狙いに変えた」という。
それでもどうにか、首位を走るパグンサンに食らいついていたが、終盤はことごとくパーセーブを逃した。

酒の席で、「優勝は平塚」と何度も言う久保谷には、こう釘を刺しておいたのに。
「そんなこと言ってて、お前が上だったら怒るぞ」。
冗談交じりにおどしたのが現実になった。
６打差からの大逆転Ｖを食らって「悔しいですけど。これが日本オープンなんだと思いました」と、そんなふうに答える平塚に、久保谷が断言した。

「平塚のような人間がジャパンオープンを制しないといけないし、これからもヤツはまた必ずジャパンオープンで優勝争いする選手です」。そしてそれを重ねるごとに、また年々タイトルの重みは増していく。

• 平塚 哲二