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TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN Lake Wood 2011
津曲泰弦(つまがりたいげん)はライバル心を力に変えて
午前組の諸藤将次(もろふじまさつぐ)が、64の8アンダーを出していた。
「絶対にあの人には負けたくない」。
と、思う矢先にちょうどホールアウトしてきたその人とばったり出会って、冗談交じりにすごまれた。
「津曲、なんだよおまえ、俺がむかつくって?」。
前日初日に、高校時代から諸藤に燃やしつづけてきたライバル心を吐露していた。
同じ飛ばし屋は、飛距離で少しでも諸藤に負けると、「むかついた」と、ひとつ上の先輩にも遠慮のない本音をぶちまけていた。
近ごろは、よく食事を共にするようになった親友に、面と向かってそれを指摘されても、ごまかしたりはしない。
偽らざる本音だからだ。
普段はどちらかというと、のんびり屋さんで誰かを気にしてゴルフをするようなタイプではない。「ライバルとか、気にしない」と自分でも思っていたが「あの人は特別なんです」。
そう言うときの目つきもいつもと全然違う、精悍さに満ちている。
成績でも、もちろん互いに自慢の飛距離でも、「一番負けたくない人なんで」。
ただその一点に心を燃やしてこの日もスタート。
「あの人に勝ちたい」と思うほどに増していく集中力。
4つのパー5すべてで楽々と2オンに成功した。最後の18番も、16番から怒濤の3連続バーディで4つともスコアをへこました。
諸藤の通算9アンダーに追いつくと、同スコアの64であっという間に突き放したばかりか、単独首位に躍り出た。
昨年は、2年守ってきたシード権を手放した。「守ろう、守ろう」とするあまりに逆に、トップ70からはみ出した。「ショックだった」。
それでも、気持ちをつないで年末のファイナルQTはランク8位で出場権を取り戻して「今度は逆にチャレンジャーな気持ちになれた」という。
ライバルが初優勝の余韻もさめやらぬうちに、1週遅れで自身もツアー初Vの絶好のチャンスを迎えて「今の位置を誰にも渡したくはない」。
しかし、そう思うことでもう自ら首を締めたりしない。
諸藤とのV争いの可能性も出てきた。
「それも楽しんでやりたい」と、気負わない。