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谷原秀人は「賞金王も狙える」
昨年は、11月の三井住友VISA太平洋マスターズで3年ぶりのツアー通算10勝目を飾った勢いのまま、今季も新年早々から絶好調だ。
1月は米ツアーのソニーオープンで、堂々の8位につけた。昨年は2年連続で1位に輝いたパッティングがハワイでも冴えた。「パットがよく入ってくれて、良いスタートが切れた」とすっかり気をよくして、そのあとグアムでの集中トレーニングにもいっそう身が入った。
「あとは、調整してスイングを作っていければ・・・もう完璧ですね!」。
開幕に向けて、早くも出来上がっている感じである。かねてより、目標に掲げながらお預けになっている賞金王。「今年は狙っていけるくらいのゴルフができると思う」ときっぱりと「今年は自分でも、かなり自分に期待している」と言って、駆けつけた大勢のファンをどよめかせた。
続くレッスン会では「フェードを打ちたい」という男性。「もっとショットを安定させたい」という女性ファンの要望に応えて、手取り足取りの熱血指導。谷原自身、ジャンボ尾崎から授かったというフェードボールの極意も惜しみなく披露。アドバイスも的確に、内容の濃いレッスン会となった。
いまや、ツアーで一大勢力を築きあげた“王国”の中でも、出世頭の一人である。昨年の賞金王は、東北福祉大の後輩。松山英樹は「あいつも、俺みたいにのほほんとした性格で。なーんも気にしない」。
いや、良い意味での図太さは、自分以上かもしれない。「僕は気にしないようで、実はけっこう気にしていたりするから」と笑って、「でも英樹はほんとになんも気にしてない」。それこそが、最大の武器。
それと、谷原が普段から目をかけている藤本佳則。「あのヤローもほんっと生意気で」。ちょっと乱暴な言葉使いでその剛胆さを表現しながらも、後輩のことが可愛くて仕方ない。「やつも、必ずやってくれる選手。僕自身も注目している選手の一人なので」。
急成長めざましい後輩たちの活躍に目を細めながらも、自分も彼らに突き上げられる思いで、いっそう気合いが入る。
近頃、よく言われるのが、今の男子は30代の元気がない。「ほんと、いっつもそればっか言われるんですよ」と顔をしかめながらも、「言われても確かに仕方ない」。実は、昨年の賞金ランクは4位につけた小田孔明とは同い年。「でも、見えないでしょう。ヤツの見た目は完全に40歳オーバー」。だからなおさら、30代の層が薄いと思われるのかも(?!)しれないが、小田も谷原も「僕らも頑張っている」との自負もある。
「僕らの代が活躍しないと、ツアーが盛り上がらないと言われる。頑張らなくちゃ」と、その自覚も満タンに、35歳もいよいよ開幕の時を心待ちにしている。