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中嶋常幸が宮城県の子どもたちをスナッグゴルフで激励(8月3日)

宮城県仙台市にあるキリンビール仙台工場は、あの日の震災で壊滅的な被害を受けた。1階部分は海水に浸り、電気系の機械は使い物にならなかったそうだ。
それから8ヶ月後の11月。従業員の懸命な復旧作業により、操業再開を始め復興を遂げた。

当時は、工場内の従業員や工場見学のお客様、そして近隣住民も避難所として芝生グラウンドに集まり、津波警報発令後にはビルの屋上に避難をして、最悪の事態を免れた。

あれから2年5ヶ月が経ち、その芝生グラウンドに、地元の小学生たちが集まっての、「復興応援キリン絆プロジェクトスナッグゴルフ教室」が行われ、中嶋常幸、中島常美、落合めぐみ、井上項音士の4人のプロが指導にあたった。

初めに、ゴルフの歴史とスナッグゴルフの歴史、そして中嶋常幸の歴史と活躍を紙芝居で紹介。
実技講習ではパット、チップショット、ピッチショット、フルショット、そして実践コースプレーも体験し、終わるころには魅力に引きこまれてしまったようで、「ゴルフは初めてだったので楽しかったです。またやってみたいです。」、「ゴルフの歴史が分かったので、ゴルフもやってみたいです。」との感想が聞かれた。

また、しめくくりに行われた井上プロと代表児童のはじめくんとの対戦は、3ホールまで勝負がもつれ込んだが、おまけの1打を生かしたはじめくんがプロを負かせ、お友だちから歓声と拍手の祝福を受けた。はじめくんは、「プロに勝てたのでゴルフがとっても好きになりました」と誇らしげにスピーチを披露した。

先月22日に膝の出術を終えたばかりの中嶋常幸は、参加することが難しい状況ではあったが、迷いなく駆け付け、杖の力を借りて会場内を歩き回って、楽しそうにスナッグゴルフに向き合う子どもたちに笑顔で声援を送った。

中嶋は、「もっと早く来たかった。仙台のこの工場でイベントができてうれしい。子どもたちも楽しんでいたし、みんな才能があった。テレビのニュースでの(震災の)扱いが少なくなっているが継続が必要だし、震災に向き合うことが必要。10年20年と忘れてほしくない。何とかしたいという国民のあの時の思いを続けていきたい。」と、震災被災地と子どもたちへの思いを話した。

イベントが開かれた工場も芝生グラウンドも、復興を遂げてそれ以前と変わらないように見えたが、実際には貯蔵タンクが倒れて何本かが間引きされた状態のまま操業をし、芝生グラウンドも海砂が残ったままだ。

本当の復興はまたまだこれから、ということを改めて感じさせる今回のイベントだったが、開始前も休憩時間も終了後も、人目に触れない場所で膝のアイシングを続け、自身の試合復帰に向けても真摯に向き合っている賢明な様子が印象的だった。
スポーツ選手としては異例の28年の長きに渡る企業とのおつきあいは、中嶋常幸の魅力によるものだと感じさせられた。

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